「上場企業から、スタートアップへ」 「監査法人から、お菓子屋さんへ」
本日のTHE BAKE MAGAZINEでご紹介するのは、そんな「勇気ある転職」を経て、現在BAKE Inc.(以下BAKE)の事業を推進している2名のメンバー。戦略立案や経営陣のサポートなど、BAKEの中枢を担っています。
ただ!
会社の中枢を担うと、取り扱う機密情報も多くなります。すると、こういったインタビューで言えることが「社内の雰囲気」だけになってしまいがち……。雰囲気……も大事ですが、仕事内容をしっかりお伝えしたい。
ということで、今回のインタビューでは仕事内容をちゃんと語っていただきました。
※Caution! この記事には機密情報が含まれますので、現状は一部、社外秘情報としています。
前職では上場しているWEB会社に務めていた玉井さん(左)、そしてメガバンクの会計監査人として、大手監査法人で働いていた大沼さん(右)。
転職の決め手になった”ある人物”のこと、新天地にかけた覚悟、そしてこれからのBAKEを大きく動かす企業秘密プロジェクトについて語ります。聞き手はインハウスエディターの名和(@miiko_nnn)です。
ーー玉井さんは、前職でも事業戦略などのお仕事をされていたとかで…もともと、経営に興味を持たれていたのでしょうか?
玉井:いや、新卒では大手IT会社に就職し、鉄鋼業界の会社に出向していました。システムエンジニアとして、出向先の在庫物流システムの開発をしていたんですよ。
ーーえっ、システムエンジニアを?
玉井:はい。学生時代、1999年頃にシリコンバレーへ留学していたのですが…
ーー1999年に、シリコンバレー?!Facebookが生まれたのですら2004年なのに…学生時代からものすごく先進的な思想だったんですね。
玉井:当時のシリコンバレーは、それはもう刺激的で。サンノゼに留学していたのですが、近所にはAppleの本社があり、学校ではADSLでインターネットが3,000円で使えたんです。
そんな環境にいたので「これからはITだ!」と思って、IT企業に就職しました。そして配属がシステムエンジニア部門だったんです。
ーーちょうど、IT革命、と言われていた時期ですよね。 玉井:はい。エンジニアを数年経験して転職し、2社目ではWebメディアなどの事業を経験しました。そしてもっと新しいことに関わりたいと思い、勢いがあって、50人くらいの規模の会社を探していて……そこでミクシィに入社しました。 その中で、SNSサービス「mixi」のディレクターや、EC事業の立ち上げ、投資とその後のグループ会社の事業管理など幅広い業務に関わらせてもらいました。 ーー2007年頃のmixiですよね?学生時代、毎日見てました!!コミュニティとかいっぱい入ってて。 玉井:そうなんですね!前職で、インターネットコミュケーションのひとつのあり方を作れたのは、とてもいい経験でしたね。 ーーそこから、どうしてお菓子屋さんであるBAKEへ? 玉井:ずっとWEB業界で仕事していたから、何かモノとしての商品を持つ事業に興味がありました。とはいえ、昔ながらの製造業で働く自分はあまり想像できなくて…… 玉井:そんな中で、BAKEはお菓子の製造販売業ですが、IT業界出身者もいるし、様々なバックグラウンドの人たちがチームアップして、新しいものを世の中に生み出しています。 「ここなら、私の経験を生かしながら、会社と一緒に自分も成長できるのでは?」と思ったんです。 そして何より、創業者の真太郎さんの思いに共感して…… ーー真太郎さんの思い? 玉井:はい。「今後もっとアジア圏の物価があがって、食生活も多様化し、洋菓子を食べる機会がぐっと増えるようになる…….そんな国々にBAKEのお菓子を持っていって、嬉しいときにお祝いしたり、元気がないときに気分を上げるようなものとして受け入れてもらいたい」というようなことを言っていました。 玉井:確かに、マーケットの成熟とともに、お菓子はコミュニケーションや生活のワンシーンで、無くてはならない存在になれる、と感じました。何より素直にすごくいいな、共感できるな、と思ったんですよね。 ーー志に共感できることって、すごく大事ですね。 玉井:そこはもう絶対ですね。あとは、他の幹部(本部長)に会った時に「自分たちが真太郎さんを支えていかなければ」といったことを、各々の言葉で語っていたのが印象的でした。 それぞれ、真太郎さんにはない様々な業界でのビジネス経験があって、その強みを生かして真太郎さんを助けていくぞ、みたいな空気があって。0→1を生み出す創業者がいて、そして各業界から経験豊かな幹部が集まっている。そんな組織を見て、一緒に働きたい、って好奇心が湧きました。 大沼:……すごい立派ですね。玉井さんはすごいですよ。もう、僕の話がいらないんじゃないかってくらいですね。 玉井:何言ってるんですか!
ーーお待たせしました、大沼さん。前職は大手監査法人で働いていたとのことですが…そこからどうしてBAKEに? 大沼:正直に言うと、最初BAKEは候補にありませんでした。 でも、公認会計士のスキルを生かして、ベンチャー企業で仕事がしたいと考えていたタイミングだったんです。そうして仕事を探しているときに、ちょうど古い知り合いである真太郎さんがFacebookで経理や財務のメンバー募集しているのを見かけて、すぐに連絡しました。 ーータイミングよく!BAKEの他にも気になる企業などあったのでは? 大沼:そうですね。3社ほど医療系ベンチャー企業の候補があったのですが、迷っていた時に真太郎さんと面接して、すごく心打たれる言葉をもらったんです。 ーーあれ。大沼さんは、医療系を志望されていたんですか? 大沼:物心ついたときから医療の世界に興味を持っていたんですよね。というのも父が医者で、母が看護師だったので、幼少期から医療に関わる仕事がしたいと思うのも、自然な流れでした。 ーーでも、最初のお仕事として選んだ道は、公認会計士。 大沼:はい。あくまでも主観ですが、医者になると、できることが限られてしまうように感じたんです。医者ではないカタチで、医療や、病院経営に携わりたい。そして、医者とも対等に付き合える立場になりたい。そこで、公認会計士を目指すようになりました。 ーー そんな明確な夢があって合格率8%の難関資格を取って、監査法人での経験を積み上げたのに、どうして製菓企業に…?大沼さんにとっては、医療ベンチャーのほうが魅力的だったのでは? 大沼:転職活動を進めていく中で、様々な会社をみて、あらためて自分の「医療」や「健康」という価値観について考えさせられたんです。 大沼:「健康」という言葉は、本当は「健体康心」という四文字熟語なんですよね。健康は身体の状態だけでなく、「心」が入っているんです。 医療系ばかりを探していた途中に、BAKEの面接で真太郎さんと話したことが、すごく本質的だと思ったんです。 ーーどんな話をされたんですか? 大沼:お菓子を食べて不幸になる人も、悲しい思いをする人もいない。お菓子は笑顔になるために買うものだし、お菓子自体が魔法のようなもの…という話でしたね。 大沼:それに、「BAKEで最高に美味しいお菓子を作って、それをより多くの人に届けたい!」と真太郎さん自身がワクワクしながら本気で語っている姿を見ていると、こっちまでワクワクさせられちゃって。 玉井:あぁ、わかります(笑)。 ーーそこで「心」を喜ばせる製菓企業に興味が湧いたんですね。とはいえ、長年の夢だった医療に関わる道とは、大きく異なりますよね。 大沼:そうですね。「医療ビジネス」についても思うことがあるのですが……これを話し出すと長くなってしまうので、またの機会にさせてください! ーーわかりました。実際、BAKEで働いてみて、いかがでしょう? 大沼:楽しいですね! だって、経営管理部として自分が努力すればするほど、より良い環境でお菓子を提供できることに繋がっているんですよ。 前職では、仕事を頑張ることと、目の前の人が喜ぶことは必ずしもイコールではありませんでした。もちろん役割があるのですが、もっと当事者として会社の中から事業を見て、サポートの幅を広げられたら….そんな思いが強くあったので、今は本当に楽しいですね。 これまでスーツで白シャツ、黒い革靴だったのに今はこんな格好になっちゃいましたし、周囲からも驚かれますね(笑)。 ーーこれまで積み上げてきたキャリアから、大きな方向転換を決意させた真太郎さん、おそるべし。そんな真太郎さんは最近、北海道の牧場に通いつめています。
ーーすっかりこれまでの話が長くなってしまいましたが、肝心の今のお仕事についても教えてください!BAKEの経営管理部とは、どんな役割があるのでしょうか? 大沼:はい。経営管理部は経理・財務・経営企画の3つの機能を担っています。 まず、これまでの会社の取引を数値化して、管理するのが「経理」です。 そして「財務」は投資計画に基づく資金繰りや、予算の策定をします。さらに過去から現在の会計データから財務分析をして、経営陣とコミュニケーションを図るのも大事な仕事です。 ーーお金の管理だけではなく、経営にもコミットしていくんですね。
大沼:そう、経営に深く関われるのは、BAKEの財務担当の魅力だと思います。
大沼:例えば僕たちは中期事業計画の策定をしたり、新しいマーケットへ進出するための戦略立案を経営陣と考えるといった、未来に目を向けた仕事が多いです。ここは、玉井さんたちと協力して仕事をしていますね。 玉井:はい。大沼さんたちの定量的な数字でのシミュレーションをもとに、私が定性的な情報を肉付けして、戦略のロジックに落とし込む…というような流れです。 ーーもうすこし詳しく、お願いします。 大沼:たとえば、ある国に出店するとして、どれくらいの期間で、何店舗出して、その店舗での売り上げをシミュレートして、最終的にいくらの利益が出るか…と計算するんですね。これは定量的な考え方で、ここを僕たち経営管理部が担っています。 玉井:対して、出店するマーケットが持つポテンシャルや、BAKEがその国や地域で発揮できる強みなどは数値化することはできませんが、戦略のストーリーを組み立てるとき、必ず求められます。これが、定性的な情報で、私たちが担っている部分です。 ーーどちらが欠けても、会社の現実的な判断ができないんですね。 玉井:そうですね。でも、両方を考察すれば絶対に上手くいくかというと、そんなことはなくて、ラッキーパンチでしかありません。だからあらゆる仮説をたてて、大きな意思決定をサポートするのが私たちの仕事です。
※ここからは社外秘情報が含まれているため、ところどころ伏せ字を交えながらのインタビューとなります。リリース次第、随時公開してまいります。→(2018/07/06更新・公開情報を更新しました。) ーーお二人は、一緒に動かれることも多いんですね。 大沼:はい。最近だと、海外は大きな投資になるので、かなりエネルギーを要しましたね。 玉井:サンフランシスコへの出店を控えていて、それに向けてアメリカでの子会社設立も動き出しました。本当に紆余曲折あって、一度は出店計画がなくなってしまったり。 ーーえ、そうなんですか?! 大沼:そうそう。もともと出店するならアメリカでも東側にと考えていたけど、そこで玉井さんの出番。 玉井:アメリカってすごく大きいから、西と東では時差もあって、かなり文化も違います。 ーーらしいですねぇ。 大沼:他にも、中国でのZAKUZAKUブランドの展開の話も、ありますね。 中国といえば上海とか香港に出店するのが王道なんだけどコピーキャットがすぐ出てくるから、あまりトレンドの中心から攻めてはいけない、と考えました。BAKE CHEESE TARTを中国出店した際に学んだことです。ですからあえて南京から出発しようと。 玉井:そういった出店計画のなかで、意思決定する人が納得できるロジックが必要になるわけです。異国でちゃんと商売として成り立つのか、大沼さんが数字面のシュミレートや、施策を考えます。そして私が定性的な部分を肉付けして、戦略ストーリーの仮説をたてます。 ーーなるほど!世界中でBAKEブランドを認知して、受け入れてもらえるようにしたいですね。今後の海外出店が、ますます楽しみになりました。今日はありがとうございました!
今回話を聞いたお二人は、BAKEの未来をどんどん描いていく、パワフルな存在でした。伏せ字の多さに比例して、これからのBAKEに対するワクワクとした気持ちも重なっていたように感じます。 今はまだお伝えできないのが本当に心苦しいのですが、これからBAKEにジョインする方はアメリカ出店や南京出店など、心踊る瞬間を共有できたら嬉しいです!
▷上場を目指して。BAKEの筆頭株主変更、社長交代についての裏側をお伝えします ▷「BAKEってどんな会社?」これまでの記事を総まとめ! 執筆:名和実咲(@miiko_nnn) 編集:塩谷舞(@ciotan)・池田彩花 撮影:平野太一(@yriica)