こんにちは。BAKEのサイエンス担当、大嶋(Facebook)です。 皆さん、今年の夏は、かき氷を食べましたか? お祭りの屋台で食べる昔ながらのかき氷から、天然氷にこだわったかき氷、エスプーマかき氷などなど、かき氷は年々進化を遂げていますよね。 今日は、そんな夏の風物詩であるかき氷を使って、夏休みの自由研究をしてみたいと思います。題して、「色が変わる魔法のかき氷」です。
まず、氷を山盛りにしたものを用意します。お好みの細かさに削ってくださいね。 次に、定番とも言えるいちご味のシロップを用意します。 このシロップをかけると、もちろん、いちご味のかき氷が出来上がりますね。 何の変哲もない、美味しいいちご味のかき氷でした。
次に、「ある魔法」をかけた氷を用意します。見た目には通常のかき氷です。 そこに、先ほど使ったのと同じシロップをかけます。すると・・・ やや、色に変化が見られます。ほんの少しではありますが むらさき色 になったような気がしませんか!? さらに待つこと約5分…… ぶどう味だと騙せるレベルにまでむらさき色が深まってきます!! そしてさらに放置を続けていると、サファイア同然のブルーまで変化します。 10分ほど経過したでしょうか……すでに肝心の氷が溶け始めております。 しかしまだ色は変わりそうな気配を漂わせています。 ここまでくると、「ちょっと色は暗いけどブルーハワイだよ!!べ、べつに怪しくなんかないよ!!ほんとだよ!!」と、怪しさ全開の説得をしても何人かは騙されてしまうのでしょうか。 実験の様子動画も、ぜひご覧ください!じわじわ色が変わって行く様子にワクワクします。 これが、いちご味をぶどう味、さらにブルーハワイ味にまで錯覚させる「魔法のかき氷」です!いかがでしょうか。試してみたくなってきましたでしょうか。 それでは魔法の種明かしをしていきましょう。
魔法のかき氷に使った魔法とは・・・ 重曹でした!! 重曹は、お菓子作りのふくらし粉や、野菜のアク抜き、水回りの掃除にも使える便利な粉。 そして、お察しの良い方はお気付きの通り、魔法のかき氷実験はシロップに含まれる色素を利用しています。
商品にもよりますが、こちらのいちごシロップは、紫イモや紫コーンから抽出した赤色色素で着色されています。 この赤色色素は「アントシアニン」と呼ばれる色素で、酸性やアルカリ性の度合いによって色が変化します。酸性のときは赤色、中性のときは紫色、アルカリ性の時は青色に変わるのです。 こちらのいちごシロップには酸味料が加えられていますし、色が赤いことから、酸性寄りなのだと推測できます。一方で、焼き菓子に使われる重曹(炭酸水素ナトリウム)はアルカリ性です。重曹の粉を氷に振りかけると、氷が溶けるにつれて、重曹の粉が氷の水に溶けていき、アルカリ性の水になっていきます。この水に触れたシロップは、徐々に中性、アルカリ性と変化していきます。それに伴い、赤色、紫色、青色と変化していくのです。
【実験の注意事項】 ・ぶどう味やブルーハワイの味になるわけではありません。 ・シロップの量により色が変化する時間は変わります。 ・重曹は苦いので、味よりは色の変化をお楽しみください。
アントシアニンは、ブルーベリーなどにも含まれています。OPENLAB Reviewでは以前、ブルーベリーのアントシアニンを使ってグラデーションカップケーキを作ったことがあります。 → まったくインスタ映えしない!科学を使ってグラデーションカップケーキを作ってみた ただし、この実験には1つ問題点があります。それは「重曹は苦い」ということです。 この魔法のかき氷は、とにかく苦いです。食べた後は結構苦味が後を引きます。本物のぶどう味やブルーハワイ味の中に1つだけ魔法のかき氷を混ぜるロシアンルーレット的罰ゲームにしか使えないかもしれません。 しかし、これをお読みになったあなたはもう、魔法のかき氷の原理が理解できたので、きっと応用ができるはず。 応用例を見てみましょう。たとえば、奈良県にある「ほうせき箱」というお店では、ハーブティに含まれる色素とレモン汁を使って、「リトマス試験紙氷」と呼ばれるかき氷を提供しています。こちらは今回とは反対に、青色の状態のかき氷にレモン汁(酸性)をかけることで、ピンク色に変化するようです。
ぜひ、夏休みの自由研究に、アントシアニンが含まれる別の食品や、アルカリ性の別の食品を探して、「おいしい魔法のかき氷」作りに挑戦してみてください!
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