こんにちは。BAKE Inc.の科学研究員の大嶋(Facebook)です。 みなさまは何味のスイーツがお好きでしょうか。「とにかくチョコ味には目がない!」とか、「とにかくベリー系であれば手に取ってしまう!」などなど、様々な好みをお持ちのことかと思います。 私は「とにかく抹茶味には無条件降伏!」派です。渋い緑色のパッケージと、「抹茶」という神聖な二文字を目にしたら最後、気づいたらレジに並んでいます。京都に行こうものなら、誘惑が多すぎて5メートル歩くのに1時間ぐらいかかるかもしれません。時速5メートルですよ。”秒速5センチメートル”でさえ、時速に直せば180メートルです。 これからの時期に食べたい抹茶といえば、抹茶アイス。
個人的に、今特に気になっているのは、「ななや」さんの、濃さが異なる7種類の抹茶アイスです。食べ比べてみたいですね!
季節を問わない定番抹茶スイーツである、抹茶ロールケーキや抹茶バウムクーヘンなんかもおいしそうですね。
本日の撮影のお品はISHIYAの新商品。 抹茶バウム&抹茶ロールケーキ。 鮮やかな抹茶色にそそられます。 #ishiya #石屋製菓 #抹茶 #抹茶バウム #抹茶バウムTSUMUGI #抹茶ロールケーキ #白いロールケーキ #北海道 #北海道お土産 #北海道お土産探検隊 #hokkaidoomiyage #hokkaidoomiyagetankentai 北海道お土産探検隊さん(@hokkaido_omiyage_store)がシェアした投稿 –
今や日本人のみならず、外国人にも人気が高い抹茶スイーツ。ところで、抹茶のお菓子の包装は”ある工夫”が施されているのを知っていますか??実は、遮光ができる素材で出来たものが多いことにお気づきでしょうか。たとえば、ハーゲンダッツの「グリーンティー」のパッケージは他のフレーバーとは異なり、カップのフタ部分は光を遮る色が使われています。また、茶葉栽培時の遮光を徹底し、アイスまで加工する途中でも、抹茶を扱うときには暗闇の中で作業を行うようです。 参考: 発売20年目を迎える日本市場向けフレーバー第1号!ハーゲンダッツの「グリーンティー」のパッケージのヒミツとは?→https://cake.tokyo/11632 抹茶はなぜ、ここまで光に対して慎重でなければならないのでしょうか。今回の記事では、栽培から抹茶スイーツに至るまでの、抹茶と光の関係を追ってみましょう!
お茶の味に関係する成分は、「テアニン」「カフェイン」「タンニン」などが知られており、それぞれお茶の旨味や苦味、渋みに影響すると言われています。これらの成分量は、栽培時の光の当たり方によって変化します。たとえば、茶葉に覆いをかぶせて約85%遮光して育てたもの(遮光条件)と、何もかぶせずに光に当てて育てたもの(露天条件)の違いを調べた実験では、遮光条件は露天条件と比べて、テアニンやカフェインが多くなり、反対にタンニンが少なくなることが分かりました。つまり、遮光を行う方が、旨味や苦味が引き立ち、渋みが弱まるのです。 これは、茶葉を水耕栽培で育てた場合でも同じで、約80%の遮光を施すと、露天条件と比べてテアニンが4倍、カフェインは1.8倍に増えたようです。こうした遮光による効果は、主に春頃に摘まれる「一番茶」で顕著なようです。
光をコントロールすることで成分が変化することは、人間にとって美味しいお茶を作る上では都合が、良いですね。しかし、なぜこのように光によって成分の変化が起こるのでしょうか。次はお茶の木の立場になって考えてみましょう。 植物は生きるために、根っこから窒素源を吸い上げて、葉の方まで運び、葉の光合成で作られたデンプンなどの材料も使いながら、生存に必要な成分を作り出す、ということを行います。実は、旨味成分のテアニンや渋みのタンニンといったお茶の味に関係する物質も、こうした生存戦略活動の一環で生じることがわかっています。 テアニン(旨味)の元は、根の中で作られます。土から吸い上げた窒素源をもとに、まず「グルタミン酸」と「エチルアミン」という物質を作り、この2つの物質をくっつけてテアニンにします。次にテアニンは、根から葉の方まで運ばれます。葉に到着したあとは、必要に応じて再び分解されます。
テアニンが葉に到着したあとは、再び分解されるルートと、分解されないルートに分かれます。 葉が光合成を行う時、つまり葉が光を浴びている時は、旨味の元になるテアニンが分解されてしまうルートになります。光合成は植物が育つために必要なことですが、光の量が多いと「活性酸素」という有害物質ができることがあります。そこで、植物はテアニンを元に、いくつかのステップを経て、活性酸素から身を守る物質であるカテキンを作り出すのです。 一方で、光が当たらない場合はテアニンが分解されないルートになります。もちろん全く分解されないわけではないですが、光を浴びる場合と比べて、テアニンが葉の中に溜まったままの状態になります。つまり、おいしさの元となる旨味成分が葉の中に残っていたのですね。 先ほどの実験で、遮光条件は露天条件と比べて、テアニンが多くタンニン(渋み)が少なくなったのは、こうした植物のはたらきが影響していたのでした。
これまでは栽培時のお話をしてきましたが、抹茶として商品になってしまえば、テアニンとカテキンの量が変わるわけではありません。それでも抹茶は繊細であり、たとえスイーツに織り交ぜられたとしても包装や保管には注意した方が良いようです。 冒頭で紹介したハーゲンダッツ「グリーンティー」の遮光性カップの他にも、抹茶のおいしさを守るポイントがあります。 それは温度です。 抹茶の保存温度ついて調べた実験では、保管温度-70℃、4℃、25℃、37℃と4パターンで24週間保存した場合、抹茶の緑色に関わる「クロロフィルα」という物質の量が、25℃では67%に、37℃では34%にまで減ってしまったようです。クロロフィルαが減ると、鮮やかな緑色が失われ、黄ばんだような色に変わってしまいます。また、25℃や37℃では、抗酸化作用を持つビタミンCの量も減少します。これに伴い、抹茶に含まれる成分が酸化されやすい状態になっていき、変質につながると考えられます。 このように、抹茶は育てる段階から製品になってからに至るまで一貫して管理が大変ではありますが、きちんと扱われた抹茶からできた抹茶スイーツは、抹茶本来のおいしさを堪能できること間違いなしでしょう!
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