こんにちは! THE BAKE MAGAZINE編集長の塩谷です。 先日のタイ・バンコクにチーズタルト店をオープンした記事、大きな反響をいただきました。船便で送ったはずが届かなかった12万個のチーズタルト、発注と全く異なる仕様で進む工事……。戦々恐々とした状況下でしたが、現場での判断と粉骨砕身の努力でなんとか、店舗をオープンさせることが出来ました。 実店舗で食品を取り扱う飲食ビジネスは、想定外の事件が多発します。強いメンタルと現場力が必要だと学ばされます。 そんなお菓子のスタートアップ・BAKEですが、私たちの大先輩でもある飲食スタートアップのお話を、今日はぜひご紹介させてください。すごく面白いのです!
これは飲食スタートップのみならず、すべての起業する方にとってもバイブルともなりそうな一冊。努力やセンス、人脈、計算、挫折……といった起業に必要なあらゆるヒントが詰まっている一方で……「暴露本」と言っても良いのでは?というほどに、ぶっちゃけておられます。 > 作中の暴露エピソード(一例) 「紅茶の茶葉が詰まって配管が爆発した!」 「妻に逃げられた社員のモチベーションが著しく下がっている。 解雇するしかない……」 「自分たちの工場なのに、工場長が勝手に競合他社の商品を作っている…?!」 「日本の大手飲料メーカーの社員が、その立場を偽って株を買っていた!」 などなど。すべての出来事がしっかり社名・実名と共に漫画化されていて、読んでいてハラハラいたします。
『夢はボトルの中に』の主役は、この二人。
セスはイェール大学経営大学院に在籍中、そこでMBAを教えるバリーに出会いました。つまりこの二人は、先生と教え子。そして後に、「紅茶のスタートアップ」HONEST TEAの共同創業者となったのです。 作中ではこんなイラストで、漫画形式で描かれているから読みやすい。(でも描いてあることはとても現実的です!) そして彼らが生み出した「甘さ控えめ紅茶」がこちらです。 日本では見かけないですよね。でもこちら、紅茶の全米トップブランドなんです。 「激甘」か「ノンシュガー」しかなかったアメリカの紅茶市場に登場したHONEST TEA。最初こそ「草の味がする」「薄すぎる」という声もありましたが、家庭で茶葉を煮出したような素朴な味とスタイリッシュなデザインで着々とファンを増やし、コカ・コーラに買収されながらもブランド力を維持。多くのアメリカ国民から愛されています。 その過程の描写が一つひとつ、とてもリアル。たとえば……
1998年、セスの自宅にて紅茶のスタートアップ「HONEST TEA」はスタートします。 起業を決意し、ゲームを消すセス。ここからの彼の真剣な仕事っぷりは、まさにHONEST。 そして、自宅の台所で茶葉を煮出すところが事業のスタートです。 実は私たちBAKEも創業当時、代表・真太郎さんと一人目の社員・田村さんの2人暮らしのアパートは、チョコレートの試作品を作る工場となっていました。 「衛生環境を整える!」という号令のもと、アパートの台所はチョコレート以外の調理は厳禁……という時代もありました。(現在は工場で生産しています) チョトコレートの試作品。完成間近でした。
イェール大学の卒業生で優秀なデザイナーにパッケージをデザインしてもらい、試行錯誤して生まれた商品。健康食品などを取り扱うスーパーでキャンペーンを行うのに、人手が足りず、大学生インターン2名が活躍します。 みるみるうちに、人気を集めるHONEST TEA! BAKEもチョコレートのPOP UP SHOPなど、あらゆる局面でインターン、アルバイトの大学生に大活躍してもらっています……。 新宿ルミネエストでのPOP UP SHOPの様子
また、教授と教え子が立ち上げた紅茶のスタートアップとして、メディアにも取り上げられます。宣伝費いらずです。 そこには「広告の押し売りで悪名高い」という人物まで、丁寧に実名でご紹介されています(!)。でもこちらのバリー社長は…… こんなに温かい一面も描かれています!
宣伝費用の少ないスタートアップ。そこに、偶然の出会いが舞い降りてくれます。 バリーがヨガ教室に行ったところ、そこにいたのは、オプラ・ウィンフリー。 オプラはアメリカでは知らない人はいない有名な司会者で、自身が発行する月刊のマガジンはなんと購買者230万人。北米で一番成功しているマガジンだそうです。 そんなオプラもHONEST TEAを大変気に入り、とてつもない影響力で販売を加速させてくれたそうです。
セスたちは紅茶の茶葉を仕入れるために、世界各国の農家さんに会いにいって、絆を深めていきます。 北海道の牧場と直接契約をしている私たちBAKEにとっても、少し親近感を感じると同時に、世界中の第一次産業を活性化させている姿には、大きな希望をいただきます。
様々な投資家や、飲食メーカーからの買収の相談も、こんな風に正直に描かれています。 HONEST TEAを買収するのは、ネスレか、コカ・コーラか……。 最後は固唾を飲みながら読んでしまう。リアルすぎるEXITまでのストーリーが描かれています。
この本の最後に描かれた、創業者2人の約束ごとです。
いかがでしょうか? 似たシチュエーションが多くて、ついついBAKEのストーリーを併せてご紹介してしまいましたが、HONEST TEAは飲食スタートアップの大先輩。彼らの正直すぎる姿勢に感銘を受けます。そして、HONEST TEAを飲んでみたくなります! 残念ながら「甘さ控えめ」が主流の日本では販売は難しいかもしれませんが、BAKEがアメリカにお店を構えたときには、ぜひチーズタルトとあわせて楽しみたいです! ・「BAKEアメリカ進出プロジェクト」を推進する現地責任者候補を募集! ・夢はボトルの中に――「世界一正直な紅茶」のスタートアップ物語 ・遅れる工事、届かない12万個のチーズタルト…。バンコクにBAKEを開店したところ……
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— 株式会社BAKE (@bake_jp) 2016年6月2日