2022.02.28

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チーズ好き必見!歴史からペアリングまで、知れば知るほど好きになる奥深きチーズの世界

チーズ好き必見!歴史からペアリングまで、知れば知るほど好きになる奥深きチーズの世界

2022.02.28

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チーズタルトやバターサンド〈チーズ〉、チーズテリーヌ、チーズスフレと、様々なチーズスイーツを手掛けるBAKE INC.。きっとチーズ好きなお客さまや読者もたくさんいらっしゃるはず。

そこで今回のTHE BAKE MAGAZINEでは、知っているようで知らないチーズの歴史から栄養や種類、そしてバターサンド〈チーズ〉とワインペアリングの楽しみ方まで、チーズプロフェッショナルやソムリエ・ワインエキスパートの育成に長年携わる山田好美先生にお話を伺いました。

メソポタミアからローマ、アジアへ。世界を旅したチーズの歴史

お料理やお菓子、おつまみなどで日々食卓に上がるチーズですが、改めて、いつ頃誕生した食べ物なのでしょうか?

チーズがいつ頃から作られ始めたかという文献はまだ見つかっていないのですが、1万年ほど前から「乳(ミルク)」を食生活の中に取り入れるようになったと言われています。ミルクを飲むだけで子供が育つことを知っていた人間は、羊や山羊、牛たちの肉だけではなくミルクも活かそうと考えたんですね。

初めは固まりではなくヨーグルトのような柔らかいものでしたが、液体のままでは腐ってしまうため、水分を抜くという技術を生み出し、塩を加えたり天日で乾燥させたりして保存できるチーズになっていきました。チーズは、メソポタミアからギリシャやローマ、ヨーロッパ全体、そしてアジアへと伝わっていったのです。

チーズプロフェッショナルやソムリエ・ワインエキスパートの育成に長年携わる山田好美先生

日本へはいつ頃伝わったのでしょう?

日本に乳製品が伝わったのは、飛鳥時代と言われています。「蘇(そ)」というチーズらしきものが、滋養強壮の薬として貴族の間で珍重されたようですが、一般の人は食べていませんし定着はしませんでした。
チーズが最初に輸入されたのは江戸時代。当時、鎖国をしていましたが、長崎の出島に「エダム」や「ゴーダ」といったオランダのチーズが入ってきました。

日本でチーズづくりが始まったのは、明治時代になってからです。北海道で外国人技術者の指導のもと酪農や乳製品づくりが始まり、1900年に函館のトラピスト修道院でチーズづくりがスタートしました。

120年以上前から日本でもチーズが作られていたんですね。それにしても、江戸時代にオランダからチーズが輸入されていたとは!世界を旅したチーズの保存性、スゴイです。

虫歯予防にも効く?!スーパーバランス栄養食「チーズ」

子供の頃から給食でも食べていましたし、チーズは何となく健康に良さそうなイメージがあります。

チーズは食物繊維とビタミンC以外を含む、まさにバランス栄養食なんです。生乳からチーズへ加工すると重量が10分の1になるので、高たんぱく・高脂肪で、カルシウムなどのミネラルやビタミン類もギュッと詰まっています。熟成によって、旨味成分であるアミノ酸も豊富になります。

カルシウムが豊富で吸収されやすいため、骨粗しょう症対策にも良いですね。
また、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする「乳糖不耐症」の方でも、チーズは、製造する過程で乳糖がホエイとして排出されるので安心して食べられます。

さらに、チーズは虫歯予防にも効果的なんですよ。特にハードタイプ(固め)のチーズはカルシウムやリン酸が多く、唾液のカルシウムイオンが補給されることで再石灰化が促進されるそうです。

まさか、チーズが虫歯予防にも効くとは驚きです!

そうですよね。日本ではあまり知られていないのですが、欧米などでは有名で、特に北欧の方々はチーズをよく食べます。

フランスには「シェーブル(山羊乳製チーズ)にはじまり、シェーブルに終わる」という言葉があるほど、離乳食でも介護食でもシェーブルチーズがよく用いられます。牛乳や羊乳に比べて消化しやすいなどの特徴もあるのですが、それほどチーズの栄養価が高いということでもあるんですよね。

原材料や製法によって異なるチーズの種類

シェーブルチーズのお話も出ましたが、チーズにはどんな種類があるのでしょうか?

チーズの種類は、日本では「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2つに分かれています。チーズを買う時にパッケージの裏の表示を見ると記載されていますね。
「ナチュラルチーズ」は、牛や羊、山羊のミルクを凝固させ、水分を抜いて型に詰め、塩やカビなどの微生物を添加し熟成して作ります。

熟成させないチーズは「フレッシュタイプ」と言い、クリームチーズやリコッタ、マスカルポーネ、モッツァレラなどがあります。
チーズの表面に白カビを繁殖させ熟成させたチーズが「白カビタイプ」で、カマンベールやブリなどがあります。

チーズの中に青カビを繁殖させ熟成させたチーズは「青カビタイプ」(ブルーチーズ)で、ゴルゴンゾーラやロックフォール、スティルトンなどがあります。日本ではこの3つを世界三大ブルーチーズと呼ぶのですが、こう呼ぶのは日本人だけなんですよね(笑)

他には、チーズの表面を塩水やビール、ワインなどのアルコールで洗いながら熟成させる「ウォッシュタイプ」、山羊乳からつくられる「シェーブル」、長期熟成された固めのチーズとして「セミハードタイプ」「ハードタイプ」があります。

「プロセスチーズ」は、セミハードタイプなどのナチュラルチーズを融かして乳化・成形してつくります。保存性が高いので、戦に持っていくためにスイスで開発され、アメリカでヒットしました。戦後、日本に入ってきて給食などで食べられるようになりました。

 

チーズの先生に聞く、バターサンド〈チーズ〉の魅力

「PRESS BUTTER SANDのバターサンド〈チーズ〉」をお召し上がりいただきましたが、いかがでしたか?

チーズの香ばしさがとても心地良かったですね。「パルミジャーノ・レッジャーノ」「チェダー」「エダム」という国も特徴も異なる3種のチーズを選んで組み合わせているところも、ユニークだなぁと思いました。スイーツとしても良いですが、アペリティフ感覚でワインと一緒に楽しむのにすごく合いますね

ありがとうございます!実は「PRESS BUTTER SANDのバターサンド〈チーズ〉」は、2021年に発売した商品の中で社員が選ぶ推しスイーツNo.1だった自信作なんです。
山田先生は、パルミジャーノ・レッジャーノチーズ アンバサダーもされていらっしゃいますよね。3種のチーズについて教えてください。

まず、パルミジャーノ・レッジャーノは、北イタリアでつくられている牛乳製のチーズで、平均24ヵ月熟成させるため、チーズの内部にアミノ酸の結晶がたくさんでき、旨味がギュッとつまって栄養価も高いのが特徴です。塩味と旨味のバランスがよく人気があるので、イタリアチーズの王様と呼ばれています。元々はバッケロッソ(赤牛)の生乳を使っていましたが、現在はホルスタインの生乳が多く使われています。生乳や熟成期間の違いによって異なる味わいが楽しめますね。

チェダーは、イングランド南西部が原産で、チェダー渓谷にある洞窟に入れて保存していたところから名付けられました。伝統的なチェダーは円柱形で布を巻いてつくります。チェダリングという特徴的な製法によってホロホロとした食感や酸味があります。
現在は、アメリカやオーストラリア、ニュージーランドなどでも製造され、世界中で最も生産量の多いチーズです。

エダムは、オランダのチーズで、アムステルダム近くのエダムという町の名前に由来します。先述のとおり、長期間の船旅に向くよう、輸出用のエダムは赤いワックスでコーティングされ保存性が高く、船底で揺れても大丈夫なように球体になっています。マイルドな味わいで少し酸味があり、しっとりしているのでサンドイッチに挟んでも美味しいですね。

ペアリングで生まれるマリアージュ、大人のおうち時間の楽しみ方

先程、バターサンド〈チーズ〉はアペリティフ感覚でワインと一緒に楽しむのにすごく合う!とお話いただきました。どのようなワインと合うか、ペアリングの基本を教えていただけますか。

ペアリングには3つの原則があります。
1つは、似たもの同士を合わせることです。若いチーズには若いワイン、熟成したチーズには熟成したワイン、そして酸味のあるチーズには酸味のあるワイン、濃厚な料理にはしっかりとしたワイン、という感じです。マリアージュは結婚と同じ。年齢や性格が合った方が上手くいきそうでしょ(笑)

もう1つは、産地です。その土地の気候や土壌にあったブドウから造られたワインと、その土地の風土と文化から生まれた料理を合わせるのは、とても自然な組み合わせですね。同郷の人だと話も弾みそうでしょ。
3つ目は、対照的な特徴を持つものを合わせることです。塩味の強いブルーチーズには甘口のワインというように、異なる味わいで楽しむ方法もあります。

なるほど。色々な楽しみ方がありますね。バターサンド〈チーズ〉には、どのようなワインが合うでしょうか?

パルミジャーノ・レッジャーノの故郷である北イタリアのワインで、「ランブルスコ(Lambrusco)」が合うのではないでしょうか。赤の微発泡酒でアルコール度数も低めなので飲みやすく、何といっても美味しいのにお手頃なのでオススメです。
今回は辛口で合わせてみたのですが、色々な種類があるのでお気に入りを見つけて合わせてみると楽しいですね。

もう一つは、日本生まれのお菓子でチーズらしい味わいにもしっかり合う、Chateau Jun(シャトージュン)甲州がオススメです。やや辛口の白ワインで果実の風味とキレよい酸味のバランスが良く、和食にも合いますね。

シャトージュンは、アパレルブランドを展開する会社が運営しているのですが、「日本ワイナリーアワード2020」で4つ星を受賞するほど実績のあるワイナリーです。「甲州2018」がG20大阪サミットで各首脳に振る舞われたり、「甲州2019」が「香港和酒大賞」で最高峰のプラチナ賞を受賞したりするなど定評があるんですよ。

他にも、アメリカのシャルドネやジンファンデル、プロヴァンスのロゼワインなど、色んなワインと合うと思います。お好みに合わせて、楽しまれるとステキな時間を過ごせると思いますよ。

ワインと共に楽しむチーズやチーズスイーツ。海外旅行が難しい今だからこそ、様々な国のワインと合わせてみることで、いつもと違った大人のおうち時間が楽しめそうですね。山田先生、お話ありがとうございました!

 

文/真鍋 順子

 

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