2022.02.08

この記事をシェアする

森永乳業のマーケティング担当に聞く、お客さまの心をつかむ新商品のつくり方

森永乳業のマーケティング担当に聞く、お客さまの心をつかむ新商品のつくり方

2022.02.08

この記事をシェアする

2017年に創業100周年を迎え、「ピノ」や「マウントレーニア カフェラッテ」など数々のロングセラー商品を生み出してきた森永乳業。この度、焼きたてチーズタルト専門店「BAKE CHEESE TART」とコラボレーションし、2022年2月7日から「BAKE CHEESE TARTアイスクリーム」を、8日から「 BAKE CHEESE TARTチーズタルトドリンク」を期間限定で発売します。

今回のTHE BAKE MAGAZINEでは、コラボ商品誕生のきっかけやこだわり、お客さまの心をつかむ新商品のつくり方などについて、森永乳業でマーケティングを担当する佐熊さんと別所さんにお話を伺いました。

食感のないドリンクに、冷たいアイス…焼きたてチーズタルト再現への障壁

森永乳業とBAKE CHEESE TARTのコラボ商品「BAKE CHEESE TARTアイスクリーム」(写真左)と「BAKE CHEESE TARTチーズタルトドリンク」(写真右)

コラボレーション先としてBAKE INC.のスイーツブランドを選んで下さったきっかけを教えてください。

佐熊:BAKEさんとのコラボレーションのお話が持ち上がったのは、2020年の冬でした。コロナ禍で自由に外出や旅行などができない中、お客さまが何を求めていらっしゃるのかを調べてみた際、ちょっとした贅沢感や特別感のあるものが好まれているとわかりました。普段ならつくれないような新しい商品を提供することで、お客さまに喜んでもらいたい!そんな想いがあったんです。

実は、私の家の近くに「BAKE CHEESE TART」のお店があって、以前から焼きたてチーズタルトをよく食べていました。自分が好きなブランドと一緒に商品づくりができると決まったときは嬉しかったですね。

別所:私たちは乳原料にこだわった商品づくりをしていますし、BAKEさんも原材料やつくり方などに強いこだわりを持っています。親和性の高い両社がコラボレーションすることで、お互いの良さを引き出せると考えました。
そして、第一弾として昨秋「PRESS BUTTER SAND」のバターサンドの味わいを再現したチルドドリンクを、第二弾として「BAKE CHEESE TART」の焼きたてチーズタルトの味わいを再現したチルドドリンクとアイスクリームを発売することになりました。

森永乳業株式会社 営業本部 マーケティング統括部 ビバレッジ事業マーケティング部 佐熊千裕さん

今回、コラボ商品をつくる上で、こだわったことはありますか?

佐熊:焼きたてチーズタルトの特徴は、サクッとしたタルトクッキーやフワっとしたチーズムースの食感です。しかし、ドリンクではその食感が出せないので、味わいで勝負しなければなりません。そこで、北海道生まれのチーズタルトという点に着目し、北海道産チーズを使ったチーズパウダーを使用することで、チーズの濃厚なコクや風味を表現しました。

別所:冷たいアイスクリームで焼きたてのチーズタルトの美味しさをどうやって表現するか。アイスでは素材の組み合わせにこだわりました。チーズムースの味わいは北海道産のクリームチーズを使用したアイスクリームで、タルトクッキーは香ばしいバタークッキーを混ぜ込むことで再現性を高めました。さらに、焼目の風味がアクセントになるように、中にチーズソースを入れています。ひとくち食べ進めるごとに変化していく、食感や味わいを是非楽しんでいただきたいですね。

なるほど、相反する特性を森永乳業さんならではの乳原料へのこだわりで克服されたわけですね!

佐熊:はい。ここ数年で、食べ物を飲み物にした商品もよく見かけるようになりました。飲むチーズケーキも話題になっていましたね。
今回、BAKE CHEESE TARTファンの方が飲んでも納得される商品をつくるために、BAKEさんの商品開発担当の方も妥協なく取り組んでくださいました。私たちも、BAKEさんならではのこだわりを再現すべく試行錯誤を繰り返し、30種類くらいのサンプルをつくってようやく商品化にこぎ着けました。

別所:アイスでは、工場で製造する際、中に素材が入れば入るほど工程が増えて難しくなるんです。今回、アイスクリームにクッキーを混ぜ込んだり、チーズソースを充填したりする必要があるので、結構ハードルが高かったですね。

試作段階でつくった味わいが製造工程で変わってしまわないよう、納得できる状態になるまでギリギリの調整が続いて。「もう、今日決着しないと間に合わない!」という日に、ようやく両社で合意ができてホッとしました(笑)

森永乳業株式会社 営業本部 マーケティング統括部 冷菓事業マーケティング部 別所冴夏さん

そんなご苦労があったとは!パッケージも「BAKE CHEESE TART」の黄色いブランドカラーが映えて印象的です。

佐熊:ドリンクでは、ロゴマークとイラストのバランスをどうとるか、ブランドの世界観を守りつつ、この商品が何なのかがお客さまにちゃんと伝わるよう試行錯誤しました。特にコンビニの棚は商品の入れ替わりが激しく、パッと見た瞬間に伝わらなければ、お客様は手に取ってくれませんから。

別所:アイスの場合は、売り場にたくさんの商品が並んだ時にわかりやすいかを重視しました。「BAKE CHEESE TART」とコラボしているということ、焼きたてチーズタルトをアイスにした商品であることが一目でわかるように、何度も社内で議論を重ねて、まん丸のチーズタルトを前面に打ち出すことにしました。

 

森永乳業流、永く愛され続けるブランドづくり

森永乳業さんと言えば、「ピノ」や「マウントレーニア カフェラッテ」をはじめとした数々のロングセラー商品をお持ちです。永く愛され続ける商品ブランドをつくるための秘訣や大切にしていることはありますか?

佐熊:例えば、私が担当している「マウントレーニア カフェラッテ」は、来年30周年を迎えるロングセラー商品です。開発当時は、チルドカップコーヒーというものがまだなく、シアトルに行った社員が現地で持ち歩きながらコーヒーを飲む人々を見て、日本で潜在的なニーズがあるのではないかと開発しました。

以来、基本のカフェラッテの味を守りながらも、時代に合わせて変わっていくお客様の好みに合わせ、いろんなフレーバーを開発しラインナップを増やしてきました。既存のお客さまを大切にしながら、いかに新しいお客さまを取り込んでいくか。新しいことにチャレンジし続けていくことが必要なのかなと思います。
 
別所:新しいこと、新しいアイデアといっても、今までにない画期的なものから、新フレーバーなどのシリーズ展開まで様々です。身近な生活や自分の好みから出てくる「こんな商品があったら良いな」というアイデアもあれば、消費者の方々のニーズをもとに社内でディスカッションを重ねながら作り上げていく商品もあります。

「これがやりたい!」と思ったときに熱意を持って伝えると、「じゃあ、やってみようか」と言ってもらいやすい風土なんですよね。新しいアイデアをカタチにしていくには、研究所や工場、デザイン、プロモーションなど、たくさんの人たちが関わります。マーケティング担当は各所との調整をしていくのですが、前向きに協力してもらいやすい会社かなと思います。

老舗企業でありながらも、新しいことにチャレンジしやすい風土があるからこそ、永く愛される商品ブランドを生み出せるんですね。
ちなみに、お2人が森永乳業さんに入社された決め手は?

別所:私は、自分が自信を持って売れる商品を提供している会社に入りたかったんです。友達や家族に「うちの商品買ってね」と自信を持って言える、お客さまに対してちゃんと価値を提供できる、そういう軸で就職活動をして入社したのが森永乳業でした。

佐熊:私の場合は、自分が一番自然体でいられる会社を探して、社風が合いそうだなと思って入社しました。実は、乳製品が苦手で牛乳も飲めないし、ヨーグルトも食べられなかったんです(苦笑)でも、森永乳業の「ギリシャヨーグルト パルテノ」を初めて食べた時に“美味しい!”と感動したんです。就職活動中に、パルテノを作っているのが森永乳業だったんだと気付いて受けました。

 

新卒で入社されて、マーケティング部門に配属されたのでしょうか?

佐熊:入社後は、管理系の部門で商品と離れた仕事をしていました。でも、せっかく入社したからには自分で考えた商品を生み出してみたいと思い、ずっとマーケティング部門へ異動願いを出し続けていたんです。そして、2年前にマーケティング部門に配属になりました。
別所とちょうど同じ時期に異動してきて、今回BAKEさんとのコラボ商品を一緒に担当できたので、すごく嬉しかったです!

別所:私は入社後、スーパー等の量販店向けの営業を担当していました。最初はアイスクリームの担当で、しばらくしてヨーグルトやドリンクなど担当商品が増えていって。営業という仕事を経験していくうちに、得意先だけではなくもっとたくさんの人に商品を知ってもらいたい、商品をつくり出してみたいと思うようになり、マーケティング部門への異動を希望しました。

念願叶い、マーケティング担当になって2年。実際のところどうですか?

別所:商品をつくり出す苦悩を知りました(笑)お客さまのことを深く知ることの大切さ、お客さまが本当はどういう気持ちでいて、どういう気持ちになりたいのか。聞き方を変えながらいろんな人に話を聞いて、垣間見えてくる奥底の気持ち。言葉では表現されない真意をしっかり捉えることができた瞬間、自分の中で「これは絶対売れる」という確信に変わるんです。
いろいろと大変なこともありますが、商品が世の中に出てSNSでお客さまの「美味しい!」という反応をみたら、全部吹き飛びますね。

佐熊:新しいことをしようとすると、色んな障壁があります。物理的にできない場合もあれば、反対意見が出て一歩踏み出すのに時間がかかることもある。でも、それを超えられたときに「これはいける!」という自信に繋がるんです。

ある時、上司に「障壁があればあるほど、新しいものを生み出している」と言われました。「何も障壁がないというのは、いつもどおりの商品をつくっているだけ。障壁があるというのは、今までにないことをしている証拠だ」と。「売れなければ、それはそれで勉強。結果が出れば自信になる。それを超えないと見えないものがある」。
日々、いろんな障壁や葛藤はありますが、やっぱりマーケティングの仕事はやりがいがありますね。

 

今回のコラボ商品を開発するにあたっても、数々の障壁があったとのこと。森永乳業さんとBAKEがつくり出した新しいドリンクとアイスクリームを、たくさんのお客さまに手に取っていただきたいですね!佐熊さん、別所さん、お話ありがとうございました。

 

文/真鍋 順子

編集部のおすすめ

森永乳業 × BAKE CHEESE TART コラボ商品

森永乳業 × BAKE CHEESE TART コラボ商品

(写真左)「BAKE CHEESE TARTアイスクリーム」/希望小売価格:オープン価格/発売日:2022年2月7日(月)、 (写真右)「BAKE CHEESE TARTチーズタルトドリンク」/希望小売価格:1本 216円(税込)/発売日:2022年2月8日(火) ★いずれも、全国のコンビニエンスストアやスーパーマーケット等の量販店にてお買い求めいただけます。

この記事をシェアする

いま話題の記事

the BAKE Magazine the BAKE Magazine BAKE INC. BAKE the ONLINE BAKE CHEESE TART CROQUANTCHOU ZAKUZAKU RINGO PRESS BUTTER SAND POGG Chocolaphil POSTBOX SAND COOKIE OIMON SOLES GAUFRETTE 八 by PRESS BUTTER SAND チーズころん by BAKE CHEESE TART 架空のパティスリー『しろいし洋菓子店』 CAICA flowers of nuts BAKE the SHOP