2021.12.01

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逆境下の学びをチャンスに!攻め続けるBAKEの海外チームが目指すこと

逆境下の学びをチャンスに!攻め続けるBAKEの海外チームが目指すこと

2021.12.01

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BAKE INC.が海外展開を始めたのは、2015年の6月頃。ちょうど、この「THE BAKE MAGAZINE」がスタートしたのと同時期でした。
あれから6年半ほど経ち、コロナ禍で世界は一変。BAKEが出店する7つの国や地域でも、ロックダウンが実施されるなど深刻な状況となりました。

しかし、大変な時だからこそ、お菓子の力でたくさんの人を元気にしたい!笑顔にしたい!

そんな想いで私たちは様々なチャレンジを続けています。今回は、逆境下でも攻め続ける海外チームのメンバーに話を聞きました。

街から人が消えた…撤退を検討せざるを得ないほど厳しい現実が、一転?!

海外事業管理部長/関根智也

BAKEは、現在7つの国や地域で店舗を運営しています。コロナ禍で各国どのような状況だったのでしょうか?

関根:昨年、感染が広がり始めた頃はロックダウンが実施され、街から人が消えてしまいました。日本でもそうでしたが、当初は新型コロナウイルス感染症というものがどういうものか分からず、パニックに近い状況でしたね。特にフィリピンでは、比較的長くロックダウンが続き、人々の外出も厳しく制限されていました。

BAKEでは、中国・香港・台湾・米国は海外子会社を通じて直接店舗を運営をしていますが、韓国・タイ・フィリピンは現地の提携企業がフランチャイズ形式で店舗を運営してくださっています。ショッピングモール等の休業が続き、撤退する飲食店もたくさんある中、このままではうちも他人事ではない・・・という状況でしたね。

海外出張ができず自分の目で実態を確認できない分、とにかく現地の担当者とコミュニケーションを密に取るようにしました。幸い、提携企業の方々も前向きに運営を続けてくださり、新たな施策にも積極的に取り組んでくださったんです。

韓国での「PRESS BUTTER SAND」POPUPの様子

具体的には、どのような施策を行ったのですか?

関根:例えば、タイでは早い段階からデリバリーをスタートさせ、ご来店が難しい方々に商品を直接お届けできるようにしました。
また、実際に現場を見て立地条件を確認できないことや、感染の収束状況が見えないことから、常設店舗の出店を控え、コストを抑えてフレキシブルに出店できるPOPUP(催事)で展開することにしました。台湾では、台北から台南まで各地でPOPUPを開催でき、ブランド認知拡大に繋がったと思います。

韓国や台湾の場合、通常だと大型連休などを使って日本へ旅行に来られる方がたくさんいらっしゃいます。しかし、渡航禁止になったことで状況が一転。国内消費が活況になり、日本の商品を買いたい・食べたいというニーズが高まったんです。
お客様の動向を見ながら、各地でタイミング良くPOPUPを出店することで、新しいお客様を取り込むことができたと思いますね。

台湾の航空会社「STARLUX」と「PRESS BUTTER SAND」が異色のコラボ!

STARLUX社の航空機。自然に対する敬意からアースカラーを採用、尾翼には無限大の夢を追いかけ続ける心が表現されている。

台湾では、航空会社とのコラボレーションが実現しました。どのようなきっかけだったのでしょうか?

王雨珊:STARLUX社は2018年5月に設立された台湾の新しい航空会社で、上質なサービスと高品質に強いこだわりを持っています。他の航空会社とは一線を画し、革新的で洗練されたイメージがあって、とても人気のあるベンチャー企業です。
BAKEもベンチャー企業で、新しいことにチャレンジしたり、美味しさやデザインに強いこだわりを持っているので、親和性があるなと思っていました。

STARLUX社は、昨年の中秋節(台湾三大節句の1つ。満月の丸みを家族団らんの象徴と捉え、家族で過ごす大切な祭日)で、台湾のお菓子メーカーとコラボレーションをしていたので、もしかしたら今年もどこかと組むのでは?と思ったんです。それなら、BAKEしかない!と思って、ホームページから問い合わせをしてプレゼンテーションの機会をいただきました。「会いたい」と言っていただいた時は、すごく嬉しかったです!

台灣焙凱股份有限公司(BAKEの台湾子会社)で責任者を務める王雨珊。オンライン取材の様子

ゼロからのアプローチだったんですね!台湾の方々にとって大切な中秋節に、コラボ先として選んでいただけたのはとても光栄ですね。

王:はい。中秋節には、日頃お世話になっている方へお菓子を贈る習慣があります。台湾企業とコラボレーションすることで、「PRESS BUTTER SAND」が台湾のお菓子として受け入れられ、台湾の人たちに愛されるブランドになるのではと思ったんです。それに、お菓子と飲み物や食べ物の組み合わせはよくありますが、航空会社のコラボレーションって意外性があって面白いですよね。

今回のコラボレーションでは、「STARLUX」のオリジナルBOXに「PRESS BUTTER SAND」のプレーン・あまおう苺・黒を詰め合わせ、限定8,000箱を販売しました。女性向けの雑誌を初め、様々なマスメディアに取り上げていただいた効果もあり、先行予約でほぼ完売しました。

「STARLUX」×「PRESS BUTTER SAND」限定コラボ商品

デザイン面で工夫したことはありますか?

佐藤:BOXは、航空輸送用のコンテナ「AKH」の形状に着想を得て透明な素材を使い、希望を象徴するグレイと透明の2色を用意しました。「STARLUX」ブランドが反映された指定のものだったのですが、ちょうど「PRESS BUTTER SAND」のブランドイメージとマッチしていました。一方で、STARLUX社にとって製菓会社とのコラボレーションが2度目ということで、変化を付けたかったんです。

台湾の人たちに「PRESS BUTTER SAND」を知っていただき、記憶に留めていただきたいという想いで、オリジナルカードやスカーフを作りました。バターサンドを食べ終わった後も、スカーフなら手元に残りますし、珍しさからSNSにアップしてくださる方もいらっしゃるのでは、という狙いがあったんです。

写真左:海外事業管理部 デザインチーム/佐藤 悠

お客さまからの反響はいかがでしたか?

王:「今回のコラボは最強!あっという間に完売した。ゲットできてすごくラッキー!」「BOXがオシャレすぎて、とりあえず買ってみた。クッキーの美味しさを新発見!調べたら東京のお菓子ブランドだね、美味しい!」「コロナの影響で日本旅行に行けない。この中秋節BOXで日本のお菓子が食べられて最高に幸せ!」といった声がSNS上にたくさん寄せられました。
お客さまに喜んでいただけて、企画した私たちも幸せな気持ちになりましたね。

関根:今回は限定8,000箱で、しかも予約販売の段階でほぼ完売したため、お買い求めいただけなかったお客様がたくさんいらっしゃいました。また、お買い求めいただいたお客様が、再度PRESS BUTTER SANDを食べたいと思った時に買える常設の店舗はまだないんです。

そこで急遽、公式オンラインショップ「BAKE THE ONLINE」の台湾店をオープンさせました。STARLUX社とのコラボレーションを起点に、新しいファンを獲得することができたと思います。現在は、まだ「PRESS BUTTER SAND」のみの販売ですが、オンライン上での商品バリエーションを増やすことで、他のBAKEブランドにもご興味を持っていただけたらいいですね。

アフターコロナを見据え、新たな常設店をオープン

タイの新店「BAKE WORKS」

今秋から、中国・香港・タイで新しい常設店舗をオープンしていますね。

関根:9月~11月にかけて、中国では「BAKE CHEESE TART」や「ZAKUZAKU」、香港では「PRESS BUTTER SAND」や「BAKE WORKS」、タイでは「BAKE WORKS」の店舗をそれぞれオープンしました。

「BAKE WORKS」は、「BAKE CHEESE TART」「ZAKUZAKU」「RAPL(日本の「RINGO」)」といった複数のブランドを一度にお楽しみいただける店舗です。1ブランド1プロダクトの店舗展開では、どうしてもお客さまにあちこちの店舗へ足を運んでいただく必要があります。まだコロナの影響が残る中、安心して効率よくお買い求めいただける店舗にしたいと思い「BAKE WORKS」を出店しました。

「BAKE CHEESE TART」と「ZAKUZAKU」が好きだというタイのお客さまには、「1店舗で両方買えて嬉しい、助かる」というお声をいただいていますね。デリバリーサービスと合わせて、より便利に楽しんでいただければと思っています。
引き続き状況を見極め、お客様やスタッフの安全を第一に考えながら、臨機応変に展開していきたいと考えています。

香港の「PRESS BUTTER SAND」の新店

海外の店舗をデザインする上で、心掛けていることはありますか?

海外事業管理部 デザインチーム マネージャー/前田真幸:ブランド初出店や出店から年月が浅い場合は、よりブランドの世界観が伝わるように、各ブランドの根幹部分にフォーカスし国内店舗に近い見せ方をすることで、日本ブランドとしてその地域に浸透させていくようにしています。
ある程度現地で認知が上がってきたら、各ブランドの販売戦略や商品展開と連動させたデザインに調整していますね。

BAKEが得意とする日本的な美意識、引き算のシンプルなデザイン表現のみではなく、各国へのローカライズを意識した分かりやすくストレートなデザイン表現を要素の一部として組み込むよう心掛けています。

例えば、新しい香港の「PRESS BUTTER SAND」では、『はさみ焼き』のライブ感を演出する焼き機や、内照式ロゴサインと蛍光オレンジをベースにしたサイズ感のあるキービジュアルをまとめて配置し、限られた空間の中でデザイン上の訴求ポイントを凝縮させ、より伝わりやすく注目されやすい工夫をしました。

日本のブランドでありながら、自国のお菓子として愛されるブランドにしたい

STARLUX社の機内の様子。モニター画面にて「PRESS BUTTER SAND」の動画が配信される予定。

この2年近く、コロナ禍でも積極的かつ臨機応変に海外ビジネスを進めてきました。今後は、どのような展開をしていきたいですか?

関根:先が見えない厳しい時期もありましたが、逆境下だからこそ気付けたことがたくさんありました。これまで以上にお客様の声に耳を傾けることで、求めているものは何なのか、どうすれば安心安全かつ効率的に商品を届けられるのか。費用対効果を高めるためにどうすればよいか。コロナ禍での学びをポジティブに捉え、チャンスに変えて新しい施策を試せたのは良かったと思っています。

BAKEのお菓子は、どうしても輸出している関係でアジア各国では高価になってしまい、なかなか手の出せない敷居の高いブランドになりがちです。幅広い人たちに興味をお持ちいただき、食べていただける存在にしていくために、現地の方々を巻き込みながらSNS発信をしていきたいと思っています。
日本のスイーツブランドでありながら、まるで自国のお菓子のようにたくさんの人たちに愛されるブランドにしていきたいですね。

中長期的には、本場ヨーロッパにも出店したいです。これまでの学びを活かしながら、各国・各地のお客さまのニーズに合ったフレキシブルなマーケティングの仕方で、それぞれの国で愛されるブランド展開ができたらいいなと思います。

世界中の人たちの「しあわせに、BAKEる」よう、頑張っていきたいですね!

 

<スターラックス航空について>
スターラックス航空は、張國煒氏により2018年5月2日に設立された台湾の新しい航空会社です。
社員の幸せを創り出すと共に、お客様に新感覚で高級感溢れる空の旅をお届けできるよう日々挑戦し続けることを企業理念に掲げ、現状にとらわれない最高品質を提供することを目指しています。
2020年1月23日より、台湾桃園国際空港を拠点とし、初期は東南アジアまた北東アジア、現在は台北からマカオ、ペナン、バンコク、東京、大阪、シンガポール、クアラルンプール、ホーチミン、マニラに定期便を運航しています。さらに、2022年2月17日より福岡=台北(桃園)線を新規就航し、将来は北アメリカなど太平洋横断路線も増加していく予定です。

 

文/真鍋 順子

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