―コロナ下でも、BAKEの“箱菓子”の魅力をより丁寧により多くの方々に伝えたい―
そんな想いで2020年12月に立ち上げたのが、公式アンバサダープログラム「箱菓子倶楽部」です。
今回は、箱菓子倶楽部のアンバサダーの方々を対象に開催した、BAKE初のオンラインイベント(2021年2月4日開催)のリポートと、イベントを主催した運営メンバーへのインタビューをあわせてお届けします。
イベントの冒頭。趣旨を伝える1枚のスライド(上)が投影されました。“BAKEの箱菓子の魅力を徹底解剖する”という今回のイベントでは、箱菓子の「ハコ」に焦点を当て、2部構成で約2時間熱いトークが繰り広げられました。
第1部では、BAKEの箱菓子ブランドの立ち上げに携わったデザイナー2名が、デザインの仕方やこだわり等について語りました。
お2人は、新しいブランド創りにどのように関わっていったのでしょう?
柿﨑:私は、2016年に入社後すぐに、「PRESS BUTTER SAND」立ち上げに関わりました。当時はまだ社員数も少なく学生サークルのような雰囲気で、立ち上げも商品開発担当や店舗デザイン担当等3~4人で行っていました。
BAKEでは、焼きたてチーズタルトや焼きたてカスタードアップルパイなど、工房一体型の店舗で出来立ての商品をメインに提供していて、「PRESS BUTTER SAND」は会社として初めてお土産菓子(箱菓子)をつくるタイミングだったんです。
商品の試作段階からプロジェクトに入って、クッキーを1枚1枚鉄板で焼いていく様子を初めて見たときに感じたこと、その時のインスピレーションを大切にして、ブラッシュアップしながら世界観を創っていきました。キービジュアルになっているのは、クッキーを焼くときの鉄板なんですよ。(写真左)
加藤:入社して1年経った頃、「SOLES GAUFRETTE」の立ち上げに携わりました。でも、私がこれまで知っていたゴーフレットとは全く違うお菓子で、初めは戸惑いもありました。
商品開発担当の強い想いを聞いたり、フランスへ視察に行って伝統菓子を若い職人さんたちがつくる様子を間近で見たりして、お菓子自体のパワーを感じたんです。それに、生地が焼きあがるときにぷくっと膨らむ様子が新鮮で、ポテンシャルのあるお菓子だなと思いました。
このお菓子を日本でも広めていきたい、という想いが強くなっていきましたね。実際に、見たり聞いたりして感じたことをデザインに落とし込んでいきました。
見たり聞いたりしたことを、どのようにデザイン化していくのでしょう?こだわりのポイントを教えてください。
加藤:数百年もの歴史を持つお菓子を、現地では若い職人さんたちが楽しそうにつくっている。伝統の持つ重厚感と若くて楽しそうな軽やかさ。1つのお菓子の中にギャップがあるな、と感じました。その二面性を色で表現しようと、歴史をネイビーで、1枚1枚丁寧に作り上げていくクラフト感をピンクベージュで表してみました。
パッケージの箱でもクラフト感を大切にしたくて、温かみのあるざらっとした触感の紙を使っています。個包装のツヤ感や焼きたて商品の包み紙にも、こだわりを詰め込んでいます。
柿﨑:私は、デザインを発想するときに、その商品が持つ歴史や文脈を大切にしています。世の中のいろんなものに疑問を持つようにしているんです。
PRESS BUTTER SANDの場合、試作品の鉄板を見て、鉄の塊でクッキーを焼くというギャップが面白いなぁと感じました。鉄の武骨な感じからインダストリアルなイメージが浮かび、インダストリアルと感じる要素って何だろう、と疑問を持ちました。
色が与える第一印象や質感も大切ですね。鉄が溶けた時の色から蛍光オレンジを着想しました。パッケージの箱のシールやショッパーの持ち手の色ですね。人の指の感覚は無意識に記憶に残るものだと思うので、箱の手触りにもこだわりました。
続いて、イベントの第2部では、アンバサダーの方々が箱菓子愛を語り合いました。
ご自身のお気に入りの箱菓子の「ハコ」をご紹介いただき、お気に入りのポイントやご購入されたときの思い出、今どのようにその「ハコ」を活用されているかなど、発表してくださいました。
イベント終了後、箱菓子倶楽部の部長を務める内村と、企画運営を担当する田代に話を聞いてみました。
オンラインイベントに参加して、アンバサダーの皆さんの箱菓子愛、箱やお菓子に対する熱量の高さを強く感じました。アンバサダーの皆さんはどのような方々なのでしょう?
内村:Instagramユーザーの方に募集をかけ、数百名を超えるご応募の中から、スイーツがお好きでBAKEブランドのファンであること、写真や文章作成がお得意なこと等を基準に選考させていただきました。当初、第1期は定員を5名にしようと考えていたのですが、短期間にも関わらず想定以上に素敵な方々がたくさんご応募くださり13名に増やしました。
第1期の皆さんは、女性12名・男性1名で、20代~50代まで幅広い年齢層の方々です。また、スイーツがお好きというだけでなく、写真やイラスト、デザイン、ファッション等様々な得意分野をお持ちの方々です。
なるほど。イベントの際に感じた皆さんの光る個性や感性は、バラエティに富んだバックグラウンドが要因だったのですね。素敵な方々にご参加いただけて、ありがたい!改めて、箱菓子倶楽部を立ち上げたきっかけを教えてください。
内村:箱菓子倶楽部は、PRESS BUTTER SANDだけではないBAKEの箱菓子(公式オンラインストア「BAKE THE ONLINE」でご購入いただける商品)をInstagram上でより多くの方に知っていただきたい、お土産やギフトを買う際にまず思い出していただける商品にしていきたい、という目的で立ち上げました。
BAKEでは、これまで様々なブランドでファンの方々をお招きしたイベントを行い、直接コミュニケーションをさせていただく機会を大切にしてきました。しかし、コロナ禍でイベントを通じたコミュニケーションができなくなり、商品へのこだわりや作り手の想いがどうすれば伝わるのか思案した結果、アンバサダーの方々の力をかりることにしたんです。
アンバサダーの方々の力をかりるメリットは何なのでしょう?
田代:「PRESS BUTTER SAND」以降のブランドは、美味しいスイーツを届けるという基本に加えて、新たな挑戦を込めた「企画」が詰まったものが多いです。
例えば、「POSTBOX COOKIES」は日常のちょっとした気持ちやお祝いの言葉を贈れるメッセージつきのクッキーBOXで、そのままPOSTに投函できる楽しさが特徴です。
また、「OIMON」はサツマイモを使った鹿児島県の新しいスイーツブランドを作ろうと始めた薩摩スイーツ専門店です。
まだ認知が低い新ブランドをどのように伝えていけばよいのか考えた際、単純にインフルエンサーの方ではなく、私たちが直接発信するのでもなく、ファンの方のフィルタを通して伝えていくことが最も効果的だと思いました。
アンバサダーの皆さんの視点で、各ブランドの魅力が何なのか、どのように見せ、どのような時に召し上がるのか、ご自身の言葉と写真で伝えていただくことで、より共感を生んでいくと思うんです。その投稿を見ると、私たちにもたくさんの発見があります。
内村:アンバサダーの皆さんには、毎月BAKEから箱菓子商品をお送りして、ご自身が良いと思った商品について月2回以上Instagramへ投稿いただいています。また、投稿いただいた中から特に素敵なお写真は公式アカウントでもご紹介しています。
アンバサダーの皆さんの投稿には、コメントも多数寄せられていて、投稿への共感をきっかけに「BAKE THE ONLINE」でのお買い上げが増えることもあります。最近では、アンバサダー以外の方々でも「#箱菓子倶楽部」とハッシュタグを付けて、商品写真を投稿してくださる方も増えてきたんです。
アンバサダーの皆さんの熱量が共感を呼び、新たなファンを増やしてくださっているのですね!
内村:はい!私がBAKEに入社して驚いたのは、お菓子のブランドなのに、これほどまでに熱狂的なファンの方々がいてくださるんだということでした。以前開催したファンイベントでは、離島からお越しくださる方や2日開催して2日ともお越しくださる方等もいて、衝撃的でした。
ファンの方々がBAKEのブランドを好きで良かったと思ってくださるような、楽しみ続けていただけるような活動をしていきたいですね。
田代:この活動をどのように事業に活かしていくか。単なるファンクラブではなく、アンバサダーの方々にBAKEの一員のような立場で商品の開発や改善、情報発信をしていただけるような関係性を築いていけたらと思っています。
これから箱菓子倶楽部でどのような活動をしていきたいですか?
内村:1回目のイベントでは、箱菓子の「ハコ」にフォーカスしたので、次は「カシ」の部分にフォーカスしたいですね。具体的な内容は、検討中ですが。
今後は、アンバサダーさんだけでなく、より多くのファンの方々にもご参加いただけるイベントにしていきたいと思っています。
リアルイベントでは、多くても30名規模のイベントでしたが、オンラインであれば様々な制約なしにご参加いただけます。新たなコミュニケーション手法で、BAKEファンを増やしていけたらと思っています。
田代:お菓子単体を切り取るというよりも、お菓子を食べる時間や楽しみ方など、暮らしがちょっと楽しくなるような、それぞれの人の楽しみ方を深堀して提案していけるようなイベントを企画していきたいと思います。
皆さん、ありがとうございました。 「箱菓子倶楽部」が切り拓いていくBAKEの未来が楽しみです。ファンの皆さんにファンで良かったと思っていただけるBAKEでありたい、と改めて感じたイベント&インタビューでした。 よろしければ、是非Instagram「#箱菓子倶楽部」も覗いてみてください!
文/真鍋 順子