2020.01.24

この記事をシェアする

BAKE CHEESE TART×Minimal – Bean to Bar Chocolate – (ミニマル)のコラボを可能にしたモノづくりのこだわり

BAKE CHEESE TART×Minimal – Bean to Bar Chocolate – (ミニマル)のコラボを可能にしたモノづくりのこだわり

2020.01.24

この記事をシェアする

もうすぐバレンタイン!BAKE CHEESE TARTでは、2020年1月9日から2月14日まで全国26店舗で、日本発のBean to Barチョコレートブランド「Minimal(ミニマル)」とコラボして開発した「焼きたてチョコレートチーズタルト」を販売しています。

BAKE CHEESE TARTは2017年からバレンタインに合わせて、焼きたてチョコレートチーズタルトを販売してきました。今回のコラボを「非常にワクワクした」とMinimal代表の山下貴嗣さんは振り返ります。山下さんにコラボレーションの裏側と、チョコレート作りの極意を聞きました。

チョコレート味だけど甘すぎない。チーズの酸味とコクが引き立つ味わい

1月9日から販売が始まっている「焼きたてチョコレートチーズタルト」。このタルトに使われているのは、どのようなチョコレートなのでしょうか?

山下:Minimalの「フルーティ(FRUITY)」と「クラシック(CLASSIC)」という2つのチョコレートが使われています。両者とも原材料はカカオ豆とお砂糖だけで一切香料等を入れていないのですが、「フルーティ」はベリーやパイナップルのような果実味や酸味が、「クラシック」はバニラやきな粉のようなクリーミーな甘みが特徴です。

左からフルーティ、クラシック

出来上がった「焼きたてチョコレートチーズタルト」を食べてみて、山下さんはどう感じましたか?

山下:BAKE CHEESE TARTとMinimalが大切にしている味が、このタルト上で再現されていて、非常に面白いなと思いました!一口食べるとフルーティの酸味が鼻に抜け、後からクラシックの甘みが口に広がります。クリームチーズのコクや酸味との相性も抜群。見た目ほど甘すぎない印象です。

SNSでも「ほんのりカカオの香りがしておいしい」「フルーティの酸味がきいていた」「チョコレートも濃すぎず、チーズの味やコクが生かされていた」などの口コミが寄せられています!

山下:ありがとうございます!それは嬉しいです!

Minimalとどうしてもコラボレーションがしたい。その言葉を裏づける誠意に心を打たれる

Minimalとコラボできて、BAKEとしてもとても嬉しいです!山下さんは、なぜ私たちのオファーを引き受けてくださったのでしょうか?

山下:BAKEさんにはずっと注目していました。お菓子のスタートアップとして、お菓子業界を変えようと、新たなチャレンジをしている。私たちもチョコレート業界に新しい旋風を巻き起こそうとしているので、同志のように感じていました。注目をしていたところに、BAKEの担当の方からオファーをいただき、モノづくりへの熱意が伝わってきたのがコラボを決めた理由としては大きかったですね。

「どうしてもMinimalさんとコラボレーションがしたい」と、最初の打ち合わせの時点でスケジュールや商品イメージを具体的に示してくださいました。コラボレーションは、具体的なコンセプトやスケジュールが決まらないまま始まり、立ち消えてしまうことが少なくありません。実現に向けて具体的なプランを提示してくれたBAKEさんの姿勢に、誠意と本気を感じました。私は何をするかよりも“誰とするか”を大切にしているので、このメンバーなら信頼できると思い、引き受けました。あとはタイミングもよかったです。

どんなタイミングだったのでしょうか?

山下:ブランドの骨子ができてきて、ちょうど新しい取り組みをしたいと考えていたんです。立ち上げから最初の3年間は、とにかくチョコレート作りに向き合いコラボレーション先も限定していました。その甲斐があってチョコレートの味も理想に近づき、ファンも増え、職人も育ってきた。自分たちの味を追求するだけでなく、可能性を広げてみようと考え始めた時でした。

次のフェーズが見えた頃だったのですね。

豆の個性を最大限に生かすために。年単位でカカオ豆農家と関係を構築する

3年かけて、Minimalはどのようにチョコレートの味を磨いてきたのでしょうか?

山下:材料となる、カカオ豆の質への追究とその個性の理解を大切にしました。そのために力を入れたのが農家の選定と育成です。情報を集め、アジアやアフリカ、中南米を中心に足を運んだ農園は300以上。現地の人たちとコミュニケーションしながら、ローカル品種を大切にしていて、カカオ豆づくりへの熱意を感じられる農家を選定していきました。

農家とは、どのように関係を築いていったのですか?

山下:最初は、なかなか豆を売ってもらえませんでした。ですが、毎年地道にカカオ豆を買い、完成品のチョコレートを持っていき、味のフィードバックをして少しずつ関係を構築しました。長いところだと6年ほどお付き合いしています。

カカオ豆農家の人たちは、カカオ豆を売ってはいるけれど、自分のカカオ豆でつくった完成品のチョコレートを食べた経験がないことも多いんです。まずは、品質の良いチョコレートを持っていき、自分の農園のものと食べ比べてもらいました。3年から5年ほど経つと農家の人たちの味覚が鍛えられ、カカオ豆の味がだんだん良くなっていきます。大事な事は彼らと信頼関係を築き、自ら良い豆をつくりたい!と創意工夫をするモチベーションを喚起する事です。

かなり地道ですね。

山下:現地の人たちと「一緒に作る姿勢」は欠かせません。他にもカカオ豆の発酵と乾燥を現地で行っていて、土地ごとに適した方法を農家の人たちと考えながら進めています。私は日本酒の発酵を専門としている農業大学の先生に頼み込んで、非公式の生徒として醸造や発酵を学んでいて、農家の人たちに知識を共有したり、現地の状況を教えてもらったりして日々改善を進めています。

現地の人たちとの地道な関係構築と、現地の特性を活かした方法の開発といった過程を経て、Minimalの味が確立されたのですね。

山下:はい。Minimalのチョコレートはカカオ豆の風味を生かしつつも、雑味がないのが特徴です。これは、徹底した品質管理によって可能になっています。カカオ豆は基本的に、麻袋に入れて船で運搬されます。麻袋は通気性がいいのですが、機密性が不十分。運搬の過程で水分を吸ってしまったりすると、その水分がカビや雑味につながります。通常は加工技術でカバーできますが、豆の味を引き出すBean to Barにとっては命取りです。

そこで私たちは、生鮮食品の運搬に使われる温度管理できるリーファーコンテナと、グレインプロというコーヒー専用の密封パックを使います。どこの国でもカカオ豆をリ―ファーコンテナで運んだことは初めてだと言われるので、多分カカオ豆の運搬にリーファーコンテナを使うのは世界でも私ぐらいだと思います(笑)。

機密性が高い器具を使い、鮮度を落とさない工夫をしているのですね。丁寧にカカオ豆を運搬した後の加工はどのように進めるのですか?

山下:農園の特性や豆のコンディションに合わせて、焙煎の方法や機械を変えて加工します。数種類の機械を豆の状態に合わせて、組み合わせを変えながら焙煎や開口をします。2018年に残っていたレシピを数えたら3119種類のレシピが残っていました。それだけ豆に合わせて細かい調整をしています。

そんなに……!豆のコンディションはどうやって見分けるのでしょう?

山下:私達はチョコレートの味わいを11項目10段階に分類した基準を持っています。まずは甘味、酸味や苦味、香りなどの項目が平均値のものに向けた「標準レシピ」で加工し、職人が試食をしてどの項目を伸ばしていくかを考えながらレシピを決めます。例えば酢酸系の酸味が強ければ、元になる成分の揮発性が高いので蒸発を防ぐために低温で短時間で焼き上げます。甘味やコクが強いものは、じっくりと焼き上げるとほど良い香ばしさが出て、美味しくなります。

豆の魅力を最大限に引き出すための試行錯誤をされているのですね。

山下:豆の特性を見極めるためにも、職人の味覚はかなり重要。Minimalの職人は、味覚を鍛えるために1日に何度もチョコレートを食べます。「チョコレートが好きです!」と言って入社してくるのですが、1カ月も経つと「もう食べたくない」と言い出します(笑)。

Minimalのチョコレートを引き立てるために、試行錯誤してくれた

妥協しない姿勢で生み出されたチョコレートが、どんなふうに「焼きたてチョコレートチーズタルト」に生かされたのかが気になります。開発はどのように進んだのですか?

山下:開発がスタートしたのは、1年ほど前。BAKEさんの商品開発担当者が、Minimalの「フルーティ」に感銘を受けてくださいました。そこでフルーティを使って開発が始まったのですが……一筋縄では行きませんでしたね。

どんな苦労があったのでしょうか?

山下:フルーティの特徴である酸味が浮いてしまいました。味の調和を取るために、他社のミルクチョコレートを使うことになったのですが、私はMinimalのチョコレートだけでコラボレーションを実現させたかった。

そこでミルクチョコレートのような風味の「クラシック」の使用を提案しました。僕らのわがままでもあるにも関わらず、BAKEさんは「やってみましょう」と快諾してくれて。他にもチョコレートの味を生かすために、チーズの割合を変えてくださいました。

コラボレーションではありますが、あくまでも主役はBAKEさんです。それにもかかわらず、私たちの意思を尊重し、意見を取り入れてくれた姿には心を打たれました。私たちのモノづくりの姿勢を大切にしてくださったのだと。今回のコラボレーションでは非常に気持ちのいいコミュニケーションができましたね。

チョコレートを通して、新しい体験を作り出したい

お互いの味を尊重する姿勢から生まれた「焼きたてチョコレートチーズタルト」が今、全国で販売されています。Minimalのチョコレートを知っていただくきっかけにもなりそうですよね。

山下:Minimalは都内5店舗のみの展開なので、これまでリーチできなかったお客さんにも知ってもらういい機会になると思います。ただ私たちは、今回のコラボレーションで自分たちの名前を広めたいという意識はありません。あくまで職人として、BAKEさんのモノづくりを手伝った感覚です。

このチーズタルトを食べて「ちょっと酸味があるな?この酸味はなんだろう?」「BAKE CHEESE TARTのチーズタルトは酸味のあるチョコレートにも合うんだな」といった、お客様のちょっとした興味や発見につながってくれたら嬉しいですね。

そうした興味や発見も、食を通して得られる体験のひとつですね。

山下:私はチョコレートそのものよりも、チョコレートを通して得られる“体験”を届けたいと考えています。チョコレートは「お菓子」か「高級品」というカテゴリーで捉えられることが多い。でもそこに「嗜好品」としての要素が加わると、世の中がちょっとだけ面白くなるような気がしているんです。

カカオ豆の産地やノートで楽しんだり、シーン別に使い分けたり……。もっとチョコレートと人々のライフスタイルの接点が増えるといいですよね。今回の「焼きたてチョコレートチーズタルト」も、純粋に体験の一つとして楽しんでほしいと思います。

MinimalとBAKE CHEESE TART、双方の妥協しない姿勢が作り出した「焼きたてチョコレートチーズタルト」をぜひお楽しみください!

この記事をシェアする

いま話題の記事

the BAKE Magazine the BAKE Magazine BAKE INC. BAKE the ONLINE BAKE CHEESE TART CROQUANTCHOU ZAKUZAKU RINGO PRESS BUTTER SAND POGG Chocolaphil POSTBOX SAND COOKIE OIMON SOLES GAUFRETTE 八 by PRESS BUTTER SAND チーズころん by BAKE CHEESE TART 架空のパティスリー『しろいし洋菓子店』 CAICA flowers of nuts BAKE the SHOP