2019年11月1日から、全国のスターバックス コーヒー(以下スターバックス)約1500店舗で、BAKE CHEESE TARTを味わうことができる新たな取り組みがスタートしました。
今年でブランド5周年を迎える節目に実現したこのコラボレーションは、BAKEの商品開発担当が試行錯誤を繰り返し、約1年の歳月をかけて実現したもの。その開発の裏側を、BAKEの商品企画・開発部の吉田紀章さんに教えてもらいました。
11月1日からスターバックスでBAKE CHEESE TARTのチーズタルトが発売されましたね!店頭に並んでいるのはどんなチーズタルトなんでしょう?
吉田:いよいよですね。店頭に並ぶのは、「チーズタルト」と「ホリデーチーズタルト(くるみ・メープル・カカオタルト)」の2種類です。いずれもスターバックスのお客様のために作ったオリジナルレシピ。「チーズタルト」は、口に入れた瞬間のチーズの滑らかな口どけと、濃厚な甘みが特徴です。
「ホリデーチーズタルト(くるみ・メープル・カカオタルト)」は、今が旬のくるみとメープルシロップが練りこまれていて、くるみの香ばしさをメープルシロップのほのかな甘みが引き立ててくれます。スターバックスのコーヒーの深煎りで香ばしい味わいにぴったりな商品になっていると思います。
おお、どちらもおいしそう……!
スターバックスの店頭でBAKE CHEESE TARTのチーズタルトが並ぶまでの裏側を教えてください。今回のコラボはどういった流れで実現したんですか?
吉田:BAKEの社員には、以前スターバックスで働いていた人も何人かいます。その関係もあって、スターバックスとはつながりがありました。それで「何かコラボレーションができたら面白そうですよね」という話は、2年ほど前からしていたんです。コラボに向けて本格的に動き始めたのが1年前。スターバックスとしても、フードカテゴリーでの様々な施策を考えるタイミングだったようで、改めてお声がけいただきました。
最初はどのような話から始まったんでしょうか?
吉田:スターバックスのフードカテゴリーにおける様々な施策の中のひとつに、スモールポーションで手軽に楽しめるものをつくろうという動きがあったそうです。その中で、BAKEに商品開発の依頼があってスタートしました。
BAKEを選んでくださった理由について、スターバックス商品本部フード部 プロダクトディベロップメントチーム プロダクトマネージャー 近藤美穂さんからは、「スターバックスのミッションや行動に共感いただけ、お互いの想いを重ねることで、スターバックスのコーヒーの体験やコーヒーの価値を、より豊かに高めるフードをお届けできると思った」とコメントをいただきました。
吉田:この一言聞いた時とても嬉しく、絶対にスターバックスのお客様に喜んでいただける商品を作ろうと思いました。
BAKEは外部とのコラボを数多く経験しているわけではないと思いますが、BAKE側の心境はいかがでした?
吉田:BAKEとしては2018年4月に、寿司業態を手掛ける会社さんのチーズデザートをプロデュースしたことがありました。その時は、今まで接することのなかったお客様に出会うきっかけになりました。だから、企業とのコラボレーションに対してはとても前向きでしたね。
スターバックスはグローバル展開をしており、日本でも全国に約1500店舗を展開されています。BAKEとしても新しいお客様の出会いのきっかけになればと、商品開発に踏み切りました。
実際に商品開発をしてみていかがでしたか?
吉田:BAKEとしては新しい試みだったので、沢山の課題がありました。BAKE CHEESE TARTでは3つの食べ方を推奨しています。
1つ目は「焼きたてやお家でリベイク」する温かい状態のチーズタルト、2つ目は「冷蔵庫で冷やして」、3つ目は「冷凍庫で凍らせて」という3つです。食感はそれぞれ、温かいチーズタルトはふわっととろける食感、冷やしたチーズタルトはチーズムースがぎゅっと凝縮しレアチーズケーキのような濃厚な味わいに、凍らせるとまるでアイスのように楽しめる。
ひとつのチーズタルトだけど楽しみ方は三者三様。その中でもスターバックスのコーヒーと合うものは?スターバックスのお店で食べるなら?と試行錯誤を重ねました。
どのような試行錯誤を?
吉田:何度もスターバックスのお店へ足を運び、コーヒーに合う味を研究しました。その結果、たどり着いたのが冷やしてチーズムースがぎゅっと凝縮した濃厚な味わいと食感でした。
BAKE CHEESE TARTは通常工房を併設し、焼きたてのチーズタルトをお客様にお届けしています。普段の提供方法とは違う中でもBAKE CHEESE TARTのこだわりは感じていただきつつ、コーヒーと楽しむことでの新たな一面を発見してもらえる商品を模索しました。
チーズタルトを焼いては冷蔵庫で冷やし、何度も商品も製造方法もブラッシュアップしました。またBAKE CHEESE TARTは、クリームチーズをオリジナルブレンドしているのですが、それぞれのチーズの比率を変えてみたり、冷やすと甘みを強く感じるので商品の甘さを控えめにしたりしました。
特に難しかったのは、ムースの食感の調整ですね。甘さを抑えることはできるのですが、そうすると、チーズムースの「ふわっと感」が出なくなってしまうんですね。そこで、甘さの微調整やチーズの比率などを何パターンも試していきました。
味の再現ができたら、あとはもう順調に?
吉田:いやいや、まだまだ大変なことは続きました。スターバックスの全国約1500店舗に届けるためには、多くの量を作る必要があり、普段と製造方法も変わるので、なかなか大変でした。
どんな点が大変だったんですか?
吉田:BAKE CHEESE TARTはあくまで自社のビジネスモデルに合わせた商品設計になっています。工房一体型のお店で生み出すそのクラフト感は、生産方法が変わっても大切にしたいという想いがありました。美味しさやクラフト感の基準は変えることなく、コーヒーとのペアリングや、スターバックスというオケージョンにどう寄り添っていくか。これは新しいチャレンジでした。
これまでのBAKEでは、経験はなかったんですか?
吉田:普段お店でチーズタルトを焼くときは、コンベクションオーブンで熱風焼成をしていきます。でも、多くの量を焼く場合はトンネルオーブンで、上下の熱で焼き上げていくんですが……これが難しかった。温度の調節がうまくいかず、焼きすぎて焦げてしまったり、破裂したり、生地にひび割れができたりと、味の美味しさに続き、試行錯誤の連続でした。この試行錯誤を経て、自信を持ってお届けできるチーズタルトが完成しました。
今回は、オリジナルのフレーバー「ホリデーチーズタルト(くるみ・メープル・カカオタルト)」も販売されますね。こちらはどんな風に設計を進めていったんですか?
吉田:ベースのチーズタルトができてから開発を進めました。11月発売の予定だったので、晩秋から冬をイメージするものにしようとアイデアを練って。社内の他部署のメンバーにも試食してもらいながら、「季節感のあるもの」「スターバックスの深煎りのコーヒーと合うもの」などを考えて決めていきました。実は、オリジナルのフレーバーにはこれまでのBAKE CHEESE TARTにはなかった、大きな特徴があるんです。
特徴というと?
吉田:普段、BAKE CHEESE TARTでは、フレーバーのついた商品を販売する際は、チーズタルトの風味を邪魔しないように、フレーバーの味は控えめにしていました。しかし、今回はあえてフレーバーの味が強く引き立つようにしたんです。フレーバーを強く出した方が、スターバックスコーヒーのコクのある深煎りのコーヒーに合うだろうということで、いつものBAKE CHEESE TARTのフレーバーとは方向性を変えてみました。
今までにはなかった挑戦ですね。
吉田:社内の意見も取り入れながら、「スターバックス視点」はかなり意識しました。実際に試作品をスターバックスのコーヒーと合わせて食べてみながら、開発を進めていきました。商品開発中は、自宅近所のスターバックスの店舗に何度も足を運んでました(笑)
吉田さん自ら実証済みなんですね!早くコーヒーと一緒に食べてみたいです!スターバックスの近藤さんからも「全国のスターバックスのお客様に、クリーミーなチーズタルトと芳醇な香りのコーヒーが織りなり冬のほっとする時間を楽しんでいただければと思います」とコメントをいただいています。
今回の開発は、BAKEではあまり経験しないような条件のもと行われたと思いますが、吉田さん自身、どんなことを心かげていたのでしょうか?
吉田:初めてBAKEのお菓子を知るお客様にも喜んでいただきたい思いで開発にあたりました。私たちは全国約30店舗、スターバックスは全国約1500店舗ですから、今回のコラボレーションを通して私たちの存在を初めて知る方も多いと思うんです。そうしたお客様にも、「BAKEのチーズタルトは美味しいな」と思っていただきたい。
普段とは違う条件の中でしたが、生地の色や表面のチーズの色や焦げ具合、照り具合などののこだわりは同様に感じていただきたいと思って、取り組みました。
今回のコラボレーションは、BAKEの可能性も開いたように思います。今後も他の企業とのコラボレーションは考えていますか?
吉田:今後は、商品だけではなく提供の仕方を含めていろいろな企業とコラボレーションしていきたいですね。お菓子だけでなく、「食」という幅広い分野に視野を広げてみることで、新しい価値を生み出していけるのではないかと思います。
思考錯誤を重ねて実現できた、こだわりの味わい。ぜひ、スターバックスの店頭で味わってみてください。
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