こんにちは。BAKE Inc.の科学研究員の大嶋(Facebook)です。
私は、科学とお菓子のウェブメディア「OPENLAB Review」の記事ネタを探すために、毎日論文を読み漁っています。論文は基本的に英語ですし、専門用語も多く、読むのは決して楽ではありません。
しかし、論文は、新しい発見が書かれているので、基本的にはワクワクする読み物です。新しいものにワクワクする気持ちは、文系も理系も一緒なはず!
そんなわけで、食にまつわる最新の科学研究の中でも、特に面白いと思った4つの研究をわかりやすく紹介しながら、ワクワクのおすそ分けをしてみたいと思います!
コーヒーや紅茶にミルクを入れるときには、小さな容器に入ったコーヒーフレッシュを使うことが多いのではないでしょうか。(こんなやつ↓)
こうしたコーヒーフレッシュの多くは、牛乳ではなく植物油脂でできています。フレッシュな牛乳を持ち運ぶのは、衛生的な問題が多くて難しいようなのです。でも、やっぱり植物油脂よりは、本物の牛乳を入れたほうがおいしくなりますよね。なんとかして、出先でもコーヒーや紅茶に本物の牛乳を入れる方法はないのでしょうか…。
そんな淡い夢を叶えてくれそうなのが、ドイツの研究者が開発した「持ち運べるミルクカプセル」です!
写真の右側が実物です。この半球体の中には、本物の牛乳またはコンデンスミルクが入っていて、普通の食品にもよく使われている糖分でできた膜に包まれています。常温の場所や、手に持ったときには溶けず、暖かい飲み物に入れたときにだけ膜が溶けて、中のミルクが出てくるようになってるようです。このミルクカプセルは、日持ちも良くて、最大で3週間ほどもつといいます。
こちらはまだ試作段階ではありますが、市場に出回ることを期待したい研究事例ですね!
もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください!
→https://bake-openlab.com/3148
読者のみなさまの中には、ダイエットのためにカロリー制限をしている人もいらっしゃるかもしれません。しかし、カロリー制限は、体をスリムにする以外の影響もあるらしいことがわかってきました。
ブラジルの研究者らがマウスにカロリー制限させる実験を行ったところ、なんと毛皮が厚くなり、抜け毛にも強くなったというのです!
(画像:Caloric Restriction Promotes Structural and Metabolic Changes in the Skinより)
上の写真が普通の食事を与えたマウスの毛、下の写真がカロリー制限を行ったマウスの毛です。カロリー制限を行ったマウスの毛の方が、長さがあって立派に見えるさまがお分かりでしょうか。マウスの体毛にはいくつかの種類があるのですが、カロリー制限を行うと、この長いタイプの毛が通常の2倍に増えることがわかりました。
カロリー制限をすると毛深くなる理由としては、食べ物を消化して体温をあげることができない分、体は毛を厚くすることで保温性を高めようとするためだと考えられています。これはまだマウスレベルの話ですが、人でも同じようなことが起きている可能性はあるかもしれません。せっかく痩せても、毛深くなっちゃったら、それはそれで悩みが増えそうですよね…カロリー制限のしすぎには気をつけたほうがよさそうです。
ちなみに、逆転の発想で、「人の髪の毛もフサフサになるのか!?」という解釈もあるかもしれませんが…この研究からは何とも言えません!(笑)
もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください!
→https://bake-openlab.com/3902
チョコレートといえば、ダーク、ミルク、ホワイトの3色展開ですよね。オレンジやピスタチオを加えて味を変えたり、色素を使って色をつけることはあっても、基本はこの3色のいずれかのチョコレートに材料を混ぜて作ることでしょう。
そんなチョコレート界に大革命です。着色料なしでルビー色のチョコレートが現れたのです!
こちらの写真は、新種のチョコレート「ルビー」です。スイスのチョコレートメーカーが開発しました。新種のチョコレートができたのは、最後にホワイトが作られてから、なんと80年ぶりです!
写真の通り、ピンクのような色をしていますが、このメーカーいわく「ピンクと呼ばずにルビーと呼んでね」とのことなので、ルビー色と表現します。この色味は、「ルビーカカオ」と呼ばれる特殊なカカオ豆の色だけでできているようです。
気になる味については、口当たりは軽く、クリーミーで苦味がなく、少し酸味を感じるフルーティな味わいなのだそうです。まだ日本では手に入れることができませんが、SNS映えもバレンタイン受けも間違いなしですね!
もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください!
→https://bake-openlab.com/3296
最近よく、「グルテンフリー」という言葉を耳にしませんか。グルテンとは、小麦に含まれている成分の一つで、パンの弾力や麺のもちもち感、クッキーのサクサク感なんかに関係しています。
料理にもお菓子にも欠かせない小麦ですが……体質によっては小麦の中のグルテンがカラダに合わず、食べるのを控えなければならない、という方もいらっしゃいます。
そんな人にも小麦を使った食品を楽しめるように、と開発されたのが、「グルテンを作りにくい小麦」です!
スペインの研究者らが、小麦の細胞の中にあるグルテンを作る遺伝子を、特殊な”遺伝子のハサミ”を使って破壊したところ、グルテンの量が大幅に減った小麦品種ができあがりました。この遺伝子のハサミとは、「CRISPR-Cas9」(クリスパー・キャスナイン)と呼ばれるもので、近年の生命科学の世界ではトレンディな技術です。
この遺伝子のハサミは”遺伝子組み換え”とは別物ではありますが、最新技術すぎて、安全性の確認や法律が全く整っていない状況です。このハサミを使った食品を販売できるかどうかなどは、まだ何も決まっていません。筆者個人的としては、「手を加えた食品なんて嫌だ!」という人の元に誤って流通することは絶対になく、望む人の元にはきちんと届けられるような未来がくるといいなと思っています。
もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください!
→https://bake-openlab.com/4244
このように、未来の食生活を変えていく可能性を秘めた研究成果はたくさんあります!ワクワクしていただけたでしょうか…?
お菓子を進化させたいBAKE Inc.としては、今後も日々最新研究をウォッチしながら、THE BAKE MAGAZINEでも定期的にご紹介できればと思っていますので、引き続きご覧いただければ嬉しいです!
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