2016.06.30

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宇宙工学、広告代理店、起業、そして事業譲渡。色んな道を経験した35歳の今、お菓子屋さんに転職してチームを育てる毎日

2016.06.30

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こんにちは!BAKEインターンの樽見です。

お菓子屋さんのスタートアップ・BAKEで働く先輩社員をインタビューをお届けしてきましたが、今回は海外留学宇宙工学大手代理店就職インターネット企業での経験起業、そして事業譲渡などなど……幅広いお話が盛りだくさんな先輩が登場です。 取材させてもらったのは、PICTCAKEなどを手がけるオンライン事業部のリーダー・春山佳久(はるやま よしひさ)さん、35歳。 カリフォルニア大学で宇宙工学を学んでいたという春山さんが、どうしてお菓子屋さんにやって来られたのでしょうか? 異色のキャリアを進んでこられた理由と、その想いを聞きました!

農家の長男として生まれ、一家で初めての大学進学。ロスで学んだ宇宙工学

春山さんは、カリフォルニア大学のロサンゼルス校に進学されたんですよね?

https://conferences.pa.ucla.edu/dm16/より

はい。そうです。

どうして海外の大学へ行きたいと思ったんですか?

実家は5代続く北海道の農家なんですが、兄弟の中で身体も大きかった私はずっと「将来は農家だね」と言われていました。そんな中、父から「プロ野球選手か研究者になるのであれば、農家を継がなくてもいい」という条件を出されていたんです。

農家か、野球選手か、研究者の三択ですか!

そうです。なかなか厳しいですよね(笑)。とはいえ、父は、やりたいことには投資してくれる人で、コンピューターや顕微鏡を買ってくれたり。小学校2年生のときには、田んぼの微生物をその顕微鏡でずっと観察していましたね。 そんな田舎での少年時代だったのですが、小学校6年生の時に宇宙飛行士の毛利衛さんが地元で講演をされて、そこから宇宙工学に興味を持ち始めました。数学や物理を夢中で勉強して……。ただ、うちの家は代々農家なので大学進学者は一人もいなかったんです。そこで父に「どうしても大学に行かせて欲しい」と説得して、カリフォルニア大学へ行かせてもらえることになりました。

春山家初の大学進学者で、いきなり海外留学ですか!!すごいっ…。 では、大学ではどんなことをされていたんでしょうか?

専攻は航空宇宙工学で、スペースシャトルの設計とか次世代飛行物体の設計学を勉強していました。

次世代飛行物体って?? 衛星みたいなものでしょうか?

そうですね、僕たちはオブジェクトって呼んでいるのですが、どんなものにもなり得る可能性をもった飛行物体です。普通の飛行物体を作るときは、一番に乗客の安全性を考えて作らなくてはいけませんが、無人で飛ぶ飛行機だとすごいスピードが出せるんですよ。そんな飛行物体のウイングの設計学を勉強していました。

アメリカの市民権のない日本人だと、最先端技術を研究できない

ウイングの設計学!その後はやっぱり、航空系技術者への就活を?

そうしたかったんですよね。でも……アメリカでその方面の技術者となると、軍事関係に最も近い仕事です。アメリカの市民権を持っていない日本人だと、たとえ就職できたとしても最先端技術を研究するような部署に入ることが難しいんですよ。

なんと……。

なのでまず、アメリカの航空機器会社の大手企業でセールス&マーケティングのインターンをしました。でもやっぱり技術職があきらめきれず、日本の大重工業会社の名古屋にある事業所に、3か月間のインターンをしにいきましたね。

ロサンゼルスから名古屋に。きっと、すごく環境も変わったのでは?

そうですね。僕は新しいもの好きなので、自分には向いていないなと感じてしまいました。

ふむふむ。

だからいっそ、ビジネスサイドから宇宙の仕事をしよう!と視点を変えて、商社から内定をいただくことになりました。。

え!せっかく技術力を持っているのに、もったいない!

……というようなことを、たくさん言われたんです。でも、ビジネスサイドにいることで、いずれ舵を切る立場になれるでしょう。

技術職だとその道は遠いのでしょうか…?

今はまた環境も変わりましたけどね。

「宇宙をメディアにしたい」という志に惹かれて電通に入社

でもその後、知人の電通の方から「宇宙をビジネスにすることはすでにみんながやっているけど、お前はそういうことをやりたいのか? 俺は宇宙っていうのを新たなメディアにして、開発していきたい」って言われたんですよ。言うだけだと簡単ですが、電通はなんと、世界で初めて宇宙ステーションでCM撮影をしたんですよね。

ポカリスエット!

それです(笑)。すごく悩んだのですが、最終的には電通の採用試験を受けなおすことにしました。

壮大……!

電通の配属は、希望とは異なる新聞部

ここまでだけでもボリュームがすごいし着いていけないのですが……会社員になってからは、どのような環境で働かれていたんですか?

新聞局で働きながらIT系の事業部に異動願いを出したりしていたのですが、やっぱりもっとインターネット関連の仕事がしたいと思って、Googleに転職しました。当時は日本版YouTubeが出来たばかりだったのですが…

YouTubeが出来たばっかり!?

そう。2007年のことだから、樽見さんはまだ小学生ですよね…。僕は新聞広告で営業をしていた経験もあったので、Adwordsの営業に加えて、Youtubeのマネタイズプロジェクトに参加させていただいたりしてました。

具体的には、どんなことを??

そうですね。マスメディアのことも、広告代理店のことも知っていたので、どうやったらクライアントが求めているマーケティング活動をGoogleのサービスを利用して広げられるか、 何をしたいのかを探りながらサポートしていましたね。

うーん…?

シンプルに言うと、お客様目線に徹する、ということでしょうか。

お客様目線。

電通、Googleを経て、北海道の農家に戻り起業

でもその後、家庭の事情で、Googleを退社して、農業事業をすることになりました。

北海道の農家に?

そうです。しばらく農家の仕事をやっていたのですが、色々と思うことがあり、農家×ITというキーワードで会社を起こすことになったんです。

どんな会社だったんですか?

僕たちの口にする食べ物が、食卓に届くまでにどんな生産者や流通会社が関わっているのかを可視化した方がいいだろうという「トレースアビリティー」という分野ですね。たとえば、肥料とかの分量を記載できるような。

春山さんが立ち上げた農業×ITの会社「とれいす」コーポレートサイト

当時、良いサービスを立ち上げようと毎日プログラミングして、サービスを開発していたんです。そこで農家の方に営業に行くと、「肌が白いから信用できない」みたいなことを言われて……

なんと。

「現場にいないで、パソコンばっかり触ってるんだろ!」と。僕の弟は農業をしているのですが、もちろん日焼けしていて、本当に美味しい野菜を作れるんです。でも僕は、そんな農業を技術的側面からなんとかしたかった。もちろん現場にも出ますが、それでも白いので、人生で初めて日サロに通ったりもしていましたが…(笑)。

日サロにまで!

でも結果として、たくさんの農家さんに使っていただくことは難しかったんです。マネタイズの出口が見えず、そのサービスは実家の農家だけでも使える仕様に変更して、会社自体を弟に引き継ぐことになりました。

★  ★  ★

解説します! 春山さんはその後、ご自身でアドネットワーク会社を立ち上げられて、日本の企業に出資してもらい、事業譲渡。そしてまだまだ流行する前のHulu日本支社にマーケティングマネージャーとしてジョインし、テクノロジーとお客様目線の知見を生かしてサービスを成長させ、日本企業にライセンス売却されるところまで見届けたそうです。そこからシンガポールに移住し、当時ご自身がユーザーだった航空系サービス「スカイスキャナー」の日本法人設立の提案をされて、実際に日本ビジネスリードとしてご活躍されます。そして2015年……!

★  ★  ★

「国産のもので、海外に勝負したい」という中で出会ったBAKE

いよいよBAKEに出会うわけですね。でも、こんな超人的なキャリアを経て、どうしてまたお菓子屋さんに?

Huluが特徴的ですけど、これまで海外のものを日本へもってきて、ある程度成長させて…… っていう仕事を主にやってきたんですが、本当は逆のことがやりたいんじゃないかなぁって

日本のものを海外へ、っていう?

はい。それでずーっと海外で勝負できるプロダクトをもっている企業のお仕事を探していて。 海外で独占的に使われている日本発のインターネットサービスってないんですよ。 でも、日本車やラーメンしかり、ものがあると日本の良さが伝わりやすくて、海外で勝負できている。実際の“モノ”で海外で勝負したいなと思ったんです。 そこで、BAKEの求人を見た時に「スイーツにもまだまだポテンシャルがあるんじゃないか」と感じて。ここは面白いことができるんじゃないかな、と。 なにより、「日本を代表する洋菓子屋さんを作る」という若い社長の熱意にも触発されて、入社を決意しました。

目標を達成するためのチーム作り。モチベーションはみんなの成長

BAKEでは、オンラインのブランド「PICTCAKE」などのリーダーとして働かれていますが、まずどんなことから始められたんですか?

まずは、PICTCAKEを注文するアプリのソースコードを作り直すことに注力しています。お客様が離脱してしまうところを洗い出して、改良を加えていく仕事です。 僕がこれまでに経験してきたサービスと違うのは、PICTCAKEは圧倒的に女性ユーザーが多いところですね。数字で追える面もあるのですが、女性的な感覚でのアプローチが必要なこともあります。ですから実際にローンチしたあとに数字を追ってみて、効果の裏付けをしてから改良したり……。

お客様の声に応えてチョコレートを増量したPICTCAKE

PICTCAKEのチームメンバーは女性の方が多いですしね! 女性が多い職場として、これまでと異なることはありますか?

うーん、女性だからといって違いはないように思いますが、女性ユーザーの方がどう感じるか…というアドバイスを的確にもらったりしています。 みんな向上心もあるし、「これからどんどん良いプロダクトを作っていきたい」っていう気持ちもあるし、他のスタッフの動きをよく見て、サポートしあえるメンバーなんです。

みなさん、すごく楽しそうに働かれていますよね。

みんな前向きで、チーム全体がどんどん成長しているのが見えるんですよ。毎日の1つ1つの決断でどんどん会社が変わっていくのも、BAKEの面白味の一つですね。 もっとエンジニアさんが働きやすい環境をつくっていきたいし、チーム内で仕事を完結して実現スピードを上げていきたいですし、まだまだ色んな課題もあるのですが。 課題があって、たくさんの目標もあります。それをチームで作り上げて、きちんとみなさんの前で形にできる日が楽しみです!

ありがとうございました!

——色んな仕事を経てBAKEへやってきた春山さんは、とてもチームへの愛にあふれるリーダーでした。春山さん率いるオンライン事業部では、新規事業開発、バックエンドエンジニア、アプリエンジニア、デザイナーを募集中! ・WantedlyIT企業でしか働いたことがないけど…」という方にも、ぜひ覗いてみてください。チームで1つのサービスを育てていく先には、たくさんの方からの「美味しい!」という笑顔が待っています。 Taxt by 樽見(@trmyuka)

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