明けましておめでとうございます。BAKE代表の長沼です。 店舗は元旦から営業スタートしておりますが、あらためて新年のご挨拶をさせていただきます。 2016年を迎えて、株式会社BAKEにも、2年8ヶ月の歴史ができました。 最初に私が地元である北海道から東京にやって来たのは、2013年の4月。当時の裏原宿のオフィスには、IKEAで買った椅子1つしかありませんでした。でも今は、自由が丘の事務所には50の椅子があり、店舗には250名のメンバーがいます。
最初はごく少人数で「次のブランドをどうしよう?」「明日の営業はどうしよう?」「光熱費や家賃をどうやって切り詰めよう?」など話し合っていたのですが、今年は部長や幹部8名での経営会議を開催するまでになりました。 売り上げも立たず、クレームへの謝罪を繰り返していた3年前の自分にその様子を見せることが出来れば、少しは安心するかもしれません。
2015年には主に、このような取り組みに挑戦させていただくことが出来ました。
メンバーの皆には無理もかかったことがありましたが、乗り切ることができました。将来性だけに賭けてまだまだ若いBAKEに参入してくれた仲間や、日本各地、海外で無理難題を解決してくれた心強い仲間がいます。本当に、ありがとうございます。
時折、「急ぎすぎているのではないか?」と言われることもあります。でも、BAKEは創業から今まで、お菓子のスタートアップとしてひとえに成長を求めてきました。 なぜ自分がBAKEを始めたのか。なぜBAKEが成長・インパクトを求めるのか。あらためてこの場で、お伝えできればと思います。
自分は北海道の洋菓子屋の息子として生まれました。 子どもの頃から美味しい美味しいと食べていた、父の会社が作るお菓子。大人になって、あらゆるものを食べても、こだわり抜いて作られた父の会社のお菓子が世界で一番美味しい。 新商品も、昔からあるなじみの商品を食べても、その感動は薄れませんでした。 もし身近に北海道出身の方がいらっしゃれば、「きのとや」という洋菓子屋を知っているかもしれません。父の会社です。でも、北海道以外の方はなかなか食べる機会はないでしょう。父の会社は、地元に愛されることを掲げた洋菓子屋だからです。
父の会社に限らず、北海道のお菓子屋は、基本的には北海道商圏から出ることはあまり多くありません。なぜなら「お土産」として本土に持ち帰られるため、北海道以外のマーケットで販売してしまうと、そのものの価値が薄れてしまう。そう考えられているようです。 でも、北海道の原材料を使った最高に美味しいお菓子が、どうして多くの人に届かないのか? 長年ずっと疑問に思っていて、そこを突破する解決方法を探したかった。 東京の大学を出て私は商社に行きましたが、スタートアップを立ち上げる友人も複数人いました。そこで洋菓子業界と、スタートアップ業界を見比べたときに、あまりにも大きなギャップがありました。洋菓子業界は、あまりにも保守的なんです。 美味しいお菓子に加えて、デザインやテクノロジー、マーケティング、店舗での購入体験そのものを考え直すことで、もっともっと価値を高めることが出来るに違いないと確信しました。 商社を辞めて1年間修行させてもらった父の会社から離れ、2013年4月にお菓子のスタートアップを掲げるBAKEを立ち上げました。
BAKEでやりたいことは、非常にシンプルです。 「最高に美味しいお菓子を、より大きなマーケットで、より多くの人に食べてもらいたい」 そのために、以下のような取り組みをしていきます。
アプリやWebでオーダーできる写真ケーキブランド『PICTCAKE』が一例ですが、既存のブランドをブラッシュアップすると同時に、お祝いシーンを盛り上げられるような商品を生み出していきます。
お客様からのお手紙やSNSでの感想を受け取るだけではなく、コクリエイションの形で共にあたらしいお菓子を生み出していきたい。cake.tokyoというお菓子を紹介するメディアも、コミュニティ機能と共に育てていきます。
このTHE BAKE MAGAZINEをはじめ、2016年はストーリーを伝えることが出来る広告手法にもチャレンジしていきます。しっかり企業としての認知を上げて、コアなファンづくりをしていくことで、「BAKEだから」と選んでいただける会社に育てていきたいです。
2016年にはいよいよ、実店舗でもなく、オンライン販売でもない実験スペース「ラボ」がスタートします。ここを中心に、より実験的なお菓子の作り方にも取り組んでいく予定ですし、飲食にまつわるクリエイターの集う場にしていきたいです。 ……このように手段は様々ですが、全ては「お菓子にもっと新しい価値を」というミッションに集約されています。
実はBAKEを立ち上げる前、わたしは海外事業で一度大きな失敗をしています。(その詳細はこちらの記事でお話しています) そんなこともあり香港、タイ、韓国の海外3拠点にBAKE CHEESE TARTを無事オープン出来た2015年は、感慨深いものがありました。中には、無事とは言えない事件も多くありましたが……。海外事業部の仲間は本当に屈強なモチベーションの高さで頑張ってくれています。そして彼らの努力があり、2016年の前半にも、4カ国ほどの出店を控えています。 「生菓子なのに海外での展開が可能なのか?」「海外だとクオリティがコントロール出来ないのではないか?」ということも、よく聞かれます。 すこし企業秘密的にもなりますが、BAKE CHEESE TARTに関しては以下のように展開しています。 まずチーズタルトは北海道で途中まで製造し、冷凍状態の半製品をコンテナ配送。そして現場で最終工程を施し、焼きたてを提供しています。 全世界で味のクオリティを下げることなく提供できることは大きな強みです。現在はアジア圏ですが、国内と同じスピードで新規店舗を開拓していきたいと考えています。 また、味や見た目などの商品品質と、店舗デザインやグラフィックデザインなどは日本で管理しています。ですが販売とマーケティングは、現地のパートナー企業に任せるライセンス形式を取っています。 各国のパートナーやPR会社の手法は様々ですが、様々なメディアやSNSを通じて、日々現地の様子が伝わってきます。
BAKE CHEESE TARTは甘すぎず、少し塩も入った爽やかな酸味があります。でもその味が世界で受け入れられていることは、とても嬉しく思います。お菓子は、全世界共通の要素が強い、例えば、タルトは全世界的に食べられています。 北海道で「きのとや」を経営していた父は今年社長を退任し、今は会長として会社を見守る立場になりました。 創業以来ずっと年末年始忙しくしていた父は、はじめて年末年始の長期休暇を取り、今は母と一緒にタイ旅行に行っています。 どうやら、BAKE CHEESE TARTバンコク店の様子を見てくるようです。 地元に愛されるお店を目指すきのとやと、世界展開をしたいBAKEが目指す方向は異なるかもしれません。ですが、こうして離れても見守っていてくれることに、何よりも感謝しています。
最高に美味しいお菓子を提供したいという考えは、父から学びました。そしてもう1つ。 きのとやを始める前の父は、北海道の地で新規開拓・就農に挑戦していました。その際に直面した、農業の難しさや課題。その苦労を聞いていたからこそ、BAKEは海外に進出する際にも、日本の素晴らしい乳製品を活用していきたいと考えています。 第一次産業は、流通に大きな課題を抱えています。 その課題解決の一助として、BAKEが流通の構造を変えることで貢献できないかと考えています。現在はクロッカンシューザクザクのクリームに使用する牛乳を、北海道の牧場と直接契約して仕入れています。
今後はさらに農家さんとの協力を深めて、農家さん側から着想したお菓子作りにも取り組んでいきたい。その詳細に関しては、牧場リーダーとも呼ばれている人事の中西さんの記事で、熱く語ってくれています。 ・学生の頃から思い描いていた目標のために、大手商社からスタートアップへ。その研修先は、北海道の山奥にある牧場でした オンラインも、ブランディングも、店舗も、海外も、第一次産業との取り組みに関しても、それぞれに意欲や専門性を持って取り組んでくれる仲間がいる。これは、3年前の自分からすると信じられないほどの飛躍です。 製造、輸出、流通。ただ単にお菓子を販売する製菓企業に止まるのではなく、垂直統合的にあらゆることを組み合わせて、一歩進んだお菓子屋を作っていきたい。 そして、日本を代表する製菓企業になりたい。 それがBAKEの目標です。2016年も、何卒よろしくお願い致します。 株式会社BAKE 代表 長沼真太郎
・スタートアップに「2番目」に入社するのはどんな人?逆境を逆境と感じない、BAKEのタフなマネージャー ・遅れる工事、届かない12万個のチーズタルト…。バンコクにBAKEを開店したところ…… ・株式会社BAKE 採用情報はこちら ・株式会社BAKE Facebook
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— 株式会社BAKE (@bake_jp) 2016年6月2日