2020.05.18

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チロルチョコに続け! #おかしつなぎ の裏側をインタビュー

チロルチョコに続け! #おかしつなぎ の裏側をインタビュー

2020.05.18

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新型コロナウイルスの影響により、食に関わる事業者の中でもSNSやクラウドファンディングなどでさまざまな活動や支援が始まっています。中でも明るいムードを運んでくれたのが、Twitterで話題を呼んだある企画。チロルチョコの公式アカウントが4月18日にツイートした「#おかしつなぎ」をご存じでしょうか。なんと、抽選で100名様に320個のチロルチョコをプレゼントするというもの。

BAKE Inc.もTwitterで「#おかしつなぎ」に参加するとともに、企画の仕掛け人たちに話題の裏側をオンラインにて取材しました。Twitterでの企画を通じて、創業100年の老舗企業チロルチョコとBAKE Inc.、規模も歴史も異なる2社に共通する、意外な効果が見えました。

チロルチョコ320個を抽選で100名様にプレゼント?!Twitterを盛り上げた「#おかしつなぎ」の裏側

キャプチャ右下:チロルチョコ株式会社

右:開発部 部長 松嶋祐介さん 開発部部長として企画デザイン、試作、原料選定など部内業務全般を担う。新商品製造立ち上げや、選任が入社するまでには広報窓口を兼ねてSNSも兼務。

左:販売部 柳下千恵さん 営業サポートとSNS担当としての業務を兼任。SNSの運営やキャンペーン考案を担当。

大手製菓メーカーやスイーツ店も参加し、とても盛り上がっていますね。

柳下:ありがとうございます。最初はこんなにたくさんの企業に参加してもらえると思っていませんでした。

SNSを前提とした企画だったのですか?

松嶋:はい。スピード感も大事ですし、SNSは現社長が就任前から積極的だったんですよ。以前は私が商品開発と兼任していたのですが、春に柳下も担当になり今とても助かっています。

柳下:現場の私たちも感染症の拡大に伴ってネガティブなムードが広がる中で、なにか明るい気持ちを届けられないか、と考えていたタイミングでした。

おかしつなぎというネーミングはどのように生まれたのでしょうか。

柳下:社長が事前に参加企業6社の製菓メーカーさんに相談していたみたいなんです。 お笑いタレントさんが発信されていた #ギャグつなぎ を見たことありますか?

SNSで一発ギャグを披露して、他のお笑いタレントや芸能人にバトンを繋いでいく企画ですよね。

柳下:そうです。私たちもお菓子で楽しい気持ちになってほしいという思いを込めて「おかしつなぎ」 のハッシュタグになりました。

なるほど!「あなたを笑顔にする」というチロルチョコさんの企業理念も取り入れているのかな、と思ったのですが……

柳下:あ、偶然です(笑)。 現在の代表・松尾が掲げたミッション・ビジョンは「『あなた』を笑顔にする」、そして「ONE TIROL ONE SMILE」です。ふたを開けてみたら、今回の企画はチロルチョコのミッション・ビジョンを体現する企画になったのかな、と思います。

スピード感もすごかったです。現場への裁量権も大きかったのですか。

松嶋:そうですね。代表の発案でしたが、実施が決まってからは現場に裁量権がありました。前身となる松尾製菓が創業して100年を超え、チロルチョコの商品としては58年目を迎えますし、現場から”新しいチロルチョコらしさ”を発信するフェーズになっていると思います。 特にSNSでの広報活動や商品開発など、現場のアイデアをボトムアップで提案していくことも増えましたね。

二社に共通していた、SNS上の以外な効果

チロルチョコからはじまった「#おかしつなぎ」は、投稿からわずか数日、大手メーカーに限らずさまざまな企業やスイーツ店が参加し大きな盛り上がりを見せました。さらに「おいしいもので明るい気持ちを届けよう」という思いは、製菓業界を超えて広がるムーブメントとなりました。

BAKE Inc.のような小規模の企業や個人店、異業種からの参加も増えるなど、今のような反響は想定されていましたか。

柳下:いえ、想定していませんでした。もちろん広がるといいなという気持ちはありましたが、実際に魚介類やパンをプレゼントする「魚つなぎ」「パンつなぎ」といった業種を超えた広がりに、驚きと嬉しさで心がいっぱいになりました!

全国民が知るお菓子から地域の個人店まで、すごい広がりですね。私たちも楽しい企画で何かご提供することはできないか、と考えていたもののなかなか形にできずにいました。そんな中、チロルチョコさんが先陣を切ってくださって、本当にありがたかったです。

柳下:とんでもないです。他社の担当の方や、お店の方とメッセージをやりとりしていると、皆BAKEさんと同じような気持ちだったみたいです。

そうなんですね。平時なら競合となる同業他社との壁を取り払い、大きなムーブメントを起こせたのもチロルチョコさんだからこそだと思います。 そろそろ商品を発送されるタイミングかと思いますが、お客様からどのような反応がありましたか。

柳下:当選者の方からは、「幸せな気持ちになりました」「家族や同僚とシェアします」等とたくさんの温かいメッセージを頂きました。

あとは、社員もTwitterコメントを読んでいるみたいで、「寝る前に毎日コメントを読んで、元気をもらっています」「思わず涙が出てくる」という声をもらいました。

我々も同じです。お店が休業状態での取り組みだったのもあって、店舗スタッフや工場勤務のメンバーから「励みになった」という声が寄せられました。SNSという目に見える場だからこそ、自分たちもなにかできるという感覚が社内にも伝わりやすかったのかもしれません。

柳下:そうだったんですね。今回の企画で自社商品が愛されてることを改めて知ることができましたし、お客様のおかげで、私たちも頑張れています。

不要不急だけど、だからこそ。

現在の状況下でお菓子は不要不急のアイテムにカテゴライズされてしまうかもしれません。一方でおうち時間の楽しみになったり、仕事が大変なときには励みになったり、お客様だけでなく業種業態の壁を超えてポジティブなムードを広げていった「#おかしつなぎ」の企画。最後はこの時代におけるお菓子の存在価値について話しました。

お二人にとって、今この時代におけるお菓子の役割は何だと思いますか。

松嶋:お菓子は無くても困らないものかもしれませんが、チロルチョコの先代の社是にもあるように、楽しさを提供できる存在でしょうか。美味しさはもちろんですが、子どもの頃に駄菓子屋さんでワクワクしたような感覚を生む商品をこれからも作っていきたいですね。

松嶋さんのお気に入り「コーヒーヌガー」(画像提供:チロルチョコ)

柳下:お菓子は今回の企画にもある「つながり」を生む、人と人をつなぐコミュニケーションツールだと改めて感じました。職場や自宅で一粒のチョコレートから始まる何気ない会話が心休まる瞬間になり、大変な状況を乗り越える力になっていくのかもしれませんね。

お菓子は必要不可欠じゃないからこそ、できることがあるはずだと悶々と考えていて。それが「#おかしつなぎ」の企画に詰まっていて、Twitterで見つけたときすごく嬉しくなりました。と同時に、店舗を閉めている時、BAKE Inc.が提供できる価値は何があるんだろうと考えさせられました。

BAKE Inc.にとって今の状況は店舗ビジネスの価値が揺らぐほどのインパクトで、これからどうやってお客様に幸せをお届けしていくのか、ビジネスモデル自体の見直しを進めています。正直心が折れそうなのは私たちだけではありませんが、「お菓子の幸せ」はそのままに、BAKE Inc.らしい進化させていきたいと思います。こんな前向きな力をもらえたお店や企業の方も少なくないと思います。改めてまして、素敵な企画をありがとうございました!

松嶋・柳下:こちらこそ、ありがとうございます!

参考図書

松尾利彦(2017年)『チロルチョコはロックだ!』幻冬舎

BAKE Inc.のTwitterアカウント(@bake_jp)でのおかしつなぎ企画当選者にはDMにてご連絡いたしました。おうち時間に商品をお楽しみください!

また、今回景品となった地域限定のバターサンドは、高島屋オンラインストアなどでお取り扱いがございます。PRESS BUTTER SAND博多駅店限定のバターサンド〈あまおう苺〉を始め、地域限定フレーバーがラインアップしていますので、ぜひご覧ください。 高島屋オンラインストア(https://www.takashimaya.co.jp/shopping/food/pressbuttersand/) ※在庫状況により、欠品または納期がかかる場合があります。予めご了承ください。

バターサンド〈あまおう苺〉
バターサンド〈檸檬〉

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