こんにちは!THE BAKE MAGAZINE編集長の塩谷です。 先日、BAKEの真太郎社長が、ヤッホーブルーイングの井手直行社長と一緒に日経デジタルマーケティングウィークのセミナーにて登壇させてもらう機会がありました!
そこで繰り広げられた井手社長のトーク内容があまりにも斜め上すぎてびっくりしました。会場のみなさまもびっくりしていました。 そこで本日は、ヤッホーブルーイングさんのPR戦略をご紹介させていただきます。必見ですよ!!
ヤッホーブルーイングさんは、「よなよなエール」で有名なクラフトビールで有名なビールメーカーです。
…と、クラフトビールという言葉はよく耳にはするものの、どんなビールが「クラフトビール」に属するかご存知でしょうか?
「クラフトビール(Craft Beer)」とは、小規模なビール醸造所でビール職人が精魂込めて造っているビールです。ビール職人が造り出す高品質なビールを「手工芸品(Craft)」に例えて、クラフトビールと呼びます。 http://craftbeer-tokyo.info/about-craftbeer/ より
というもの。ヤッホーブルーイングさんのクラフトビールたちは、長野県佐久市にある醸造所にて丹精込めて作られているそうです。(一部例外あり)
ヤッホーブルーイングさんの製品でまず記憶に残るのは、そのユニークなネーミングセンスやパッケージデザイン。
かわいいネコちゃんに釣られます。ネコ欲しい。
ビールの製品名とは思えぬ攻めっぷり。フォントがかわいい。
長野生まれなのに東京ブラック。どすこい。 ダンボールもこんなに洒落てて、箱買いしたくなりますね! 他にもたくさんの製品がありますが、どれも今までのビールのイメージをガラッと変えていて、かなり目を引きますよね。 ですが、これだけではない! 熱狂的なファンを生み出す、驚くべき施策がありました。
2014年10月、ローソンで限定発売されたという「僕ビール、君ビール。」ゆるいカエルのパッケージが特徴的です。 コイツのプロモーション方法が「カエル捕獲大作戦」というもの。 「あなたのローソンにかえるビールはあるか?!」そんな現地調査を、オープンな形で開催します。商品を購入(捕獲)したお客様が、ハッシュタグ #かえるビール をつけてTwitter上で捕獲エリアを報告すると、ヤッホーブルーイングさんの社内に掲示された地図の該当エリアが塗りつぶされていきます。スタッフは東京都内を走り回り、お客様に向けては47都道府県でのカエル捕獲を呼びかけます。
昨日から始まった、日本全国かえる捕獲大作戦リターンズですが、昨日20時以降で、長崎、広島、高知から捕獲の情報をいただきました。残る、大分、香川、徳島、鹿児島県民の皆様~!うちのかえる見かけませんでしたか~? #かえるビール pic.twitter.com/Bpi2lAp2MG
— よなよなエール/ヤッホーブルーイング公式 (@yohobrewing) 2015, 4月 22
ほぼ塗りつぶされた日本地図!こんな中で「うちの県でまだ捕獲されていない!」というのを見てしまうと、探しにいきたくなるものです。 中には「このローソンには置いてなかったから、何軒かまわって捕獲しました!!」という喜びのツイートも。 自分で捕獲したカエルビールの美味しさは格別なのでしょうか。もちろんカエルの味はいたしません……。 詳しい現場の様子は、以下にまとめられています! >東京23区かえる捕獲大作戦リターンズ!「僕ビール、君ビール。」再販売~♪ #かえるビール
実は、インターネット上の「父の日ギフト」で一番売れているのが、ヤッホーブルーイングさんのビールセットだそうです。 父の日を前に、ヤッホーブルーイングさんでは、お客様から「父の日のメッセージ」を募集。その中から一番グッとくるメッセージの送り主の方に、父の日ギフトとして100缶プレゼントしちゃおう! という企画を行ったそうなんです。 ここで100缶を当ててしまったのは、東京都にお住まいの「ひなっこ」さん。スタッフのみなさんが3人がかりで長野から東京まで運び、ご自宅でお渡ししたそう。100缶ゲットしたひなっこさん、うらやましい! 詳しい様子はコチラコチラでレポートされています。 さらに。 父の日だけではなく11月22日、いい夫婦の日には「夫婦で幸せ50年セット」というキャンペーンも開催されました。 なんと、50年間のビール合計金額… 定価750万円を、300万円引き! なんという大幅なプライスダウン。どういうことだ! 業者に買い叩かれるぞー! と思いましたが、さすがにそこは手堅いです。 このキャンペーン、以下の条件がありました。 ・ご購入時は450万円を現金一括払い ・ご夫婦2人のどちらかの生存が確認できなくなったら、権利は剥奪 ・ビールは毎月お届け つまり、50年後もピンピン元気に生存しそうな年代の人しかこのキャンペーンに参加するメリットがありません。26歳の私ですら76歳。その頃生きていても、グビグビとビールを飲める自信がないぞ…。そして話題になってサイトのアクセスは集中するものの、1件も応募が来なかったらしいです。 (※厳密には、70歳の男性から応募があったそうですが、50年後には120歳ということで丁重にお断りしたとのことです) しかし。サイトにアクセスが集中するだけでもう、このキャンペーンは「大成功」といえそうですね。
そして極め付けがこのイベント。ネットプロモーションばかりお伝えしてきましたが、リアルイベントまで開催されています! その名も『超宴』というもの。 これは、よなよなエールのファン500人が集まるという盛大なファンイベント。開催地は北軽井沢! 参加費5,000円に加え、宿泊費、交通費もかかりますが、すぐに定員いっぱいになってしまうんだとか。そしてなんと、日本全国、遠くはシドニーからの参加する方までいらっしゃるそうです。 ここでは、ヤッホーブルーイングさんのビールが飲み放題。さらにはビールづくりを体験したり、音楽ライブがあったり、夜はファイヤーパフォーマンス、朝はヨガまで出来ちゃうんです。
でも、インドアな私には参加ハードルが高すぎー!ちょっとリア充すぎー! と思いましたが、参加者の88%が「ビールのファンイベントは初めて!」という方ばかりだそう。 それはよなよなエールのファンの方が、お友達を連れて来るからですね。初めて同士だったら、私も混ざれるかもしれない…楽しめるかもしれない…。しかし、自然の中で飲み放題というのは、たまらんです。きもちいんだろうなぁ…。
これまで、かなり斜め上をいく取り組みをご紹介させていただきました。でも、どうしてビール屋さんがこんな変わったことをするんでしょう? 井手社長は「他の大手と真っ向勝負しても勝ち目がなかったから」と語ります。 ヤッホーブルーイングは、1996年に立ち上がったビール会社。当時勃発した地ビールブームの流行に伴って、発売と同時に多数のメディアに露出。買いたい! というお客様に提供が追いつかないほど、幸先は良かったそうです。 ただ、そんなブームにあやかろうと、300社ほどのブランドが地ビール市場へと新規参入。地ビールの乱立により、「高い」「味が個性的すぎる」「美味しくない」などのネガティブなイメージが徐々に出来てしまい、2003年あたりまでどんどん下落が続き、ブームは終焉を迎えたそうです…。 そこから、ヤッホーブルーイングさんはCMを打ったり、長野のスキー客相手に試飲会をしたりするものの、なかなかうまくいきません。「地獄を見た」とおっしゃっていましたから、その苦難の日々は、想像しがたいものがあったようです…。でも井手社長は通信教育でビジネスを勉強し、試行錯誤を繰り返す中で、ぶれない軸を見つけたそうです。 「モノマネではダメだ! 大手ビール会社のやっていることの縮小版にはならないぞ」 そこで定めたテーマは「知的な変わり者」。次々とユニークな商品開発やキャンペーン施策を実行していきます。今では、日本で6番目に売り上げのあるビール会社になりました。(その上位はキリン、アサヒ、サントリー、サッポロ、オリオンという5社ですね) 楽天市場では、なんと8年連続で「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」を受賞されています。その受賞式では… ……?!?!? ……なぜか必ず仮装をして登場する井手社長。とにかく目立ちます。こうなるともはや、大手ビールメーカーの社長の方が真似出来ません。7年連続仮装で登場する井手社長は「名物仮装マン」となり、楽天の三木谷社長からも愛される存在になったそうです。
「ビール」という常識を次々と打ち破り、アイデアをひねって認知を広め、ファンと一緒に作り上げていくヤッホーブルーイングさんのブランドづくり。インターネットの使い方が上手だったり、井手社長のキャラクターが超個性的というのもありますが、その根底にあるのは「ビールのある幸せなシーンを築いていきたい」というピュアな想いです。 こんな方々が愛情込めて製造しているクラフトビール。ヤッホーブルーイングさんのストーリーを噛み締めながら、乾杯といきたいところです! ではでは、今回はヤッホーさんのご紹介となりましたが。私たちはお菓子のスタートアップBAKEです。お菓子にもっと新しい価値を築いていけるよう、これからも色んな取り組みをしてまいります。BAKEのことは、こちらの記事こちらの記事で詳しくご紹介しております。 それでは! Text by 塩谷 舞( @ciotan ) ・株式会社BAKE 採用情報 ・株式会社BAKE Facebook こちらの記事もあわせてどうぞ! ・固定概念を、ぶっ壊す。インターネットを味方につけたPR戦法とは? ・オウンドメディアをはじめて1ヶ月。すごい効果がありました
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