優秀な人財が、大きな企業の中でもつぶされず、その人らしく輝くためには?

2018.02.08

Text by 塩谷舞(THE BAKE MAGAZINE編集長)

オートバイは、自分の思うスピードで、力量で、かっ飛ばすことが出来る。運べるものは少ないが、小回りは効く。

一方列車は、多くの人や荷物を運ぶことはできても、突然路線は変えられないし、急発進も急停車も出来ない。

スタートアップが大きな会社に成長していくとき、最初は好きに走りまくるオートバイかもしれないが、次第に乗客が増えて自動車になり、安全運転を心がけ、いつしか長い長い列車のようになっていく。

大きくなれば、運べる荷物はうんと増える。安心感も増す。しかし同時に、失われてしまいがちなのが、スピード感や、現場の主体性だ。

大きくなればなるほどに、列車にゆられる乗客側は、心に「どうして?」という疑問を宿してしまったりもする。


「どうして、年功序列なんだろう?」
「どうして、形骸化した決まりを守らなければいけないんだろう?」
「どうして、現場を知らない人の承認をずっと待たなければいけないのだろう?」


「主体性を持って仕事をしないんだったら、うちにいる意味はないのかな、と思います」

そんな言葉が飛び出したのは、1月19日に開催された、株式会社BAKEの年に1度の総会「BAKE Communication」でのこと。

この日、日本各地、世界各国から東京の会場に、130人を超える仲間たちが集まった。

北海道や福岡、そして海外に拠点があるBAKE海外法人の面々も海を超えてやって来ていて、中国語や英語、そして日本各地の方言も飛び交う、なかなかカオスな空間になっていた。

BAKEは現在、国内に36店舗、海外では韓国、 香港、台湾、中国、インドネシア、タイ、シンガポール、ベトナム、フェリピンの9ヶ国の地域に37店舗を展開している。

4年前、2014年の2月にはBAKE CHEESE TARTルミネエスト新宿店1店舗だけだったのだから、これは贔屓目なしに見ても、とてつもない急成長である。


「久しぶり!」「元気だった?!」という挨拶が飛び交ったり「いやぁ、本当に人が増えたねぇ」という声も聞こえてくる。

店舗はどこも営業真っ最中なので、もちろん現場を離れられないメンバーも多いのだが、出来る限りのBAKE関係者が通常業務の手を止めて集まった。

開会の挨拶は、創業者で会長の長沼真太郎さんより。

この日、BAKEの新たな7つの指針が伝えられた。

1.Think Customer お客様のことを考える
2.Respect All 敬意を持って接する
3.Be Unique 個性を生かす
4.Have Passion 情熱を持つ
5.Be Logical 論理的に考える
6.Do Speedy 迅速に行う
7.Have Ownership 主体性を持つ

どれもBAKEらしく、どれも欠かせないものばかりだ。

しかし私は、最後の「Have Ownership」がこの中でも一際、BAKEらしいなぁ、と感じたし、今のタイミングでこれを掲げることの勇敢さに、心の中で拍手してしまった。

国内事業推進本部、本部長の近藤さんは、1つ1つの指針を解説する上で”Have Ownership”については、このように語っていた。

「オーナーシップを一人ひとりが持てば、強い組織になります。楽しい組織になります。
逆に、これを持っていなかったら、うちにいる意味はないんじゃないか? って思うんですよ。

自分に自信がある、ないは関係ない。自分でドライブする、自分でBAKEを良くしようとすること。

そういったものであれば、会社がバックアップしますよ!」

スタートアップから、中小企業へ。そして大企業への道をひた走るなかで、このメッセージを社員全員に伝えて、実行され続けるというのは、実際、とても難しい。

もし、運転手以外の人が自己判断で好き勝手にハンドルを握る列車があれば、間違いなく事故を起こす。

1000人を超えた組織は、運転手に権限を集中させて、トップダウン式に切り替えたほうが、ずっとリスクは低くなるんじゃないだろうか。

ただ、今のBAKEには、トップダウン式にしてしまうにはもったいないほどの個性が、才能が、あらゆるポジションを担っている。

そして、各地域、各国で、現場の様子は見事にバラバラである。IT企業ではないから、みんなが一箇所のオフィスに集まって仕事をできる訳でもない。

グローバルで勝負をしていく中で、スピード感を保って走り続けるには、若干のリスクがあっても現場の裁量権を大きくして、個々の能力を最大限に発揮していくことが必須なのだ。

この会の後半、BAKEの7つの指針になぞらえて、2017年のMVPである7名が表彰された。

私はその7人を見て、「まるで戦隊モノの7レンジャーみたいだな!」と思ってしまった。

クリエイティブ、お菓子作り、コーポレート、海外市場、工場での生産現場……あらゆるポジションでの、BAKEのエースプレーヤーたちを紹介していきたい。

Think Customer お客様のことを考える

”Think Customer”に輝いた小阪恵里奈さんは、RINGOのユニットリーダー兼、天神地下街店での店長も勤めている。残念ながら、この日は欠席だったのだが……

前職では、パティシエとしてお菓子作りをしていた小阪さん。現場でのお菓子作りの面でも頼れる存在なのだが、同時に彼女はリーダーとしてみんなを引っ張り、盛り上げてくれている。

新店オープンのときは、各地から集まったヘルプや、新しいメンバー、慣れないお店でどうしても慌ただしくなってしまったりもするのだが……彼女が新店の立ち上げを務めたRINGO岡山一番街店では、オープンしてすぐに「いい接客されますね!」とお客様から高い評価をいただいた。


Respect All 敬意を持って接する

“Respect All”に輝いたのは、経理の高山ひとみさん。

本社には、日々新しいメンバーが入社してくる。みんなが中途採用だから、同期はいないし、入社してすぐに実務がスタートする。そんな不安な幕開けに優しく寄り添ってくれるのが、彼女の存在だ。

高山さんは、社内で郵便物を配るときも、机にポン、と置くだけじゃなくて、一人ひとりとコミュニケーションをとっている。気配り、目配りが抜群なのだ。だから、何か困ったことがあればみんな、まず高山さんを頼って尋ねる。

企業が急成長するフェーズは、小さな痛みも伴う。けれども、その痛みをしっかりケアしてくれているのが、彼女の日々の心配りなのだ。


Be Unique 個性を生かす

続いて、”Be Unique”に輝いたのは、商品開発部門の吉田紀章さん。BAKEの、お菓子作りの最前線を担っている。

前職では、製菓メーカーで商品開発の現場にいた吉田さん。BAKEにはマーケターとして入社したはずが、彼の中の血が疼いたのか、BAKEの要となる商品開発部門に「俺がやります!」と自ら名乗り出た。

実は、彼が入社したのは2017年の9月。社歴はたった5ヶ月だ。けれども、持ち前のコミュニケーション力を駆使しながら、商品開発しやすい環境を爆速で作り上げている。

ユニークで、スピーディーな彼の偉業に「頭が上がりません!」と近藤さんはコメントした。


Have Passion 情熱を持つ

“Have Passion”に輝いたのは、北海道工場で生産管理マネージャーをしている飛鷹 英志さん。

「行列の出来るお菓子屋さん」「何万個売り上げるチーズタルト」……そんなキャッチコピーとともに、情報番組やグルメ番組などでもよく取り上げていただくBAKEのお菓子。

だが、その「何万個」を生み出しているのは他でもない、北海道にある工場のみなさんだ。

日本各地、世界各国に店舗が増えるたびに、1日の生産数が数千個増える。本社側から工場側には、無理なオファーが飛ぶことも少なくはない。

飛鷹さんは、受賞コメントとしてこう語っていた。

「私は昔、きのとやの一店舗で店長をしていました。だから、数千個の売り上げを達成することが、店舗のみなさんにとってどれだけ大変か、というのはわかっているつもりなんです。

そして今、東京や、海外の各地で売れていく商品の数を見て、すごいな!とひっくり返っています。一体、店舗のみなさんは、どうやってこの量を実現しているのか?!と。それが私の、情熱の根源ですね。

私たちは、それに応えて、しっかりと供給できるようにしなければいけない。工場のメンバーには、けっこう無理難題を言ってしまうのですが、幸運にもそれに応えよう!という人たちが今、BAKEの北海道工場に集まっています。北海道工場から、みなさまに情熱を届けたいと思っておりますので、よろしくお願い致します!」

飛鷹さんが壇上で話す間、北海道から来ている他のメンバーたちは、うん、うんと優しい笑顔で頷いていた。

彼らの「この数でも応えてやるぞ!」というパッションがあって、BAKEのお菓子が今日も世界中で提供されているのだ。


Be Logical 論理的に考える

続いて、”Be Logical”に輝いたのは、ストアデザイン部の勝部 竜太朗さん。

「最初に海外出店で言われることは、お店のデザインが素晴らしいですね、ということなんです。でもそこをまとめていくのは…あの個性的な面々をまとめていくのは、非常に大変な仕事です」

海外事業推進本部長の春山さんは、勝部さんの仕事の重要性をみんなにそう訴えた。

実は彼も、入社してまだ半年。けれども、超・個性豊かなストアデザイン部のみんな、そして社外の建築家やデザイナー、アーティストたちをまきこみながら、ロジカルに「BAKEのストアデザイン」というものを明文化してくれている存在だ。

BAKEのお店は、店舗ごとにデザインが大きく異なっている。

BAKE CHEESE TARTそごう神戸店
BAKE CHEESE TARTゴーデュッケー店(ベトナム)

正直、全店舗同じデザインで展開したほうが、効率も良いし、仕事はずいぶん楽になる。それでも、BAKEは「非効率への投資」を大切にしていて、その国、その土地、その場所にあわせた店舗作りに毎回、チャレンジしている。そんな店舗デザインが海外のアワードを受賞することも少なくはない。

いわゆる「花形」部署だが、同時に、もっともカオスな部署でもある。そんな最前線でロジカルに「核」を作ってくれているのが勝部さんだ。


Do Speedy 迅速に行う

“Do Speedy”に輝いたのは、中国法人のCEOである、田尻晃久さん。

実は、BAKE CHEESE TARTは中国マーケットで苦戦を強いられていた。BAKE CHEESE TARTにそっくりのコピー品があらゆる場所で安価に提供されていたり、そもそも中国には「エッグタルト」という圧倒的な人気者もいたりと、なかなか厳しい市場なのだ。

実は、去年の今頃、BAKE CHEESE TARTの中国にある2店舗では、在庫が捌ききれない状況だった。(毎日売り切れで閉店している国内店舗とは、大きな差である)

そんな厳しい状況の中で

「僕に中国を任せてください!クロッカンシュー ザクザクで勝負しましょう!」

と名乗りをあげたのは、田尻さんだ。

彼は2017年、中国での基盤を整え、店舗展開の難しいクロッカンシューザクザクを中国国内で4店舗も立ち上げた。これからさらに、怒涛の出店スケジュールを控えている。

クロッカンシュー ザクザク 南京德基广场店

クロッカンシュー ザクザク 厦门中山路步行街店

クロッカンシュー ザクザク 上海IFC店

クロッカンシュー ザクザク 杭州湖滨银泰店

彼は早口でこう語る。

「中国スタッフのゾイや、7名の社員と共に、短期間ダッシュで走ってこれました!」

勢いがあり、急成長していく中国市場。彼はその戦場でも十二分に戦っていける、BAKEの「スピード感」を象徴するような存在だ。


Have Ownership 主体性を持つ

そして最後、「Have Ownership」に輝いたのは、デザイナーの柿崎弓子さん。

BAKEは、とにかくインハウスデザイナー陣が才能豊かだ。そんな中でも、彼女は凄腕。

柿崎さんがアートディレクションを手がけたPRESS BUTTER SANDは、TOP AWARD ASIAを受賞した。「デザインが良い!」と、大切なお土産に買ってくださる方が本当に多い。

個人としても非常に優秀なデザイナーでありながら、彼女はチームを率いて、日々周囲のクリエターたちのモチベーションを高めている。

いつも優しく、時に厳しく、そしてクリエイティブに。BAKE商品全体のデザインクオリティを高めているのだ。

受賞にあたって、彼女はこうコメントした。

「”Have Ownership”というマインドがBAKEを面白くするし、それをやらなければ、BAKEに来た意味がありません。

今後も図々しくいろんな人を頼りながら(笑)、やりたいことを最後までやり通す…というしつこさを持って、やっていきたいなと思います!」


優秀な人財が、その人らしく輝くためには?

“「Have Ownership」というマインドが持てなければ、BAKEに来た意味がない。”

そう考えているのは、彼女一人ではない。

「どうして、年功序列なんだろう?」
「どうして、形骸化した決まりを守らなければいけないんだろう?」
「どうして、現場を知らない人の承認をずっと待たなければいけないのだろう?」

THE BAKE MAGAZINEで社員一人ひとりの取材をしていると、これまで、多くの「どうして?」を抱えながら、大きな組織の中で苦しんでいた……という人が、非常に多い。

どれだけ優秀な人財であっても、Ownershipを持てなければ、戦うことに疲れてしまったり、疑問を抱くことすら諦めてしまったりもする。

時には取材中、「これまで、悔しい思いを沢山してきたから」と、目に涙を浮かべる人もいた。

優秀な人財が、その人らしく輝くには、Have Ownershipというマインドは不可欠だ。

社長の西尾さんは、こうスピーチした。

「考えて時間を無駄にするくらいなら、行動しましょう。主体性を持ちましょう。それを持っていなかったら、うちの会社にいる意味がないんじゃないかな。

お菓子の可能性はこんなものではないと、僕たちは信じてます」

受け取る人によっては、厳しく聞こえる言葉かもしれない。

でも、この環境が仲間を強く、たくましく育てるし、BAKEという会社を強くしていることは確かだ。

BAKEという会社はもう、個人で自由に走り回ることが出来るオートバイではない。でも、線路をまっすぐ安全に走る列車でもない。

それぞれが「お菓子を、進化させる」というステートメントを地図にして、自分の想いで前進していきながら、それぞれが協力し合って、拡大し続けている。

なんだかアメーバのような、不思議な組織だ。けれどもこれが、21世紀らしいグローバル企業のあり方なのかもしれないな、とも思う。

このユニークな組織で、共に働きたい!という方は、ぜひWantedlyをご覧ください。お待ちしています!

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■ 2017年、素晴らしい成績を残したBAKEの店舗も表彰されました!

BAKE CHEESE TART 北千住店
BAKE CHEESE TART ASSE広島店
CROQUANTCHOU ZAKUZAKU 原宿店
RINGO 天神地下街店

■BAKE Communication 運営委員のみなさん。お疲れ様でした!

山口 智実
貞清 誠治
阿座上 陽平
手代 さやか
福田 映理
金子 未和
久保田 由美

小野澤 慶(懇親会の動画制作)
松永 美帆(懇親会BGM)
和田 武史(BAKE COMMUNICATIONロゴデザイン等)

Text by 塩谷舞(@ciotan
Photo by 高橋奈々(@takanana78

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